新時代の幕開けだ。巨人で通算17年間指揮を執った原辰徳監督(65)が退任し、6日に阿部慎之助新監督(44)が正式に誕生した。原監督の下でヘッドコーチなどを歴任し、帝王学を吸収した阿部監督は至上命令となる4年ぶりのV奪回へどんなタクトを振るうのか。2007年から原監督のヘッドコーチを4年間務めた本紙専属評論家の伊原春樹氏は「継承」だけでなく「破壊と創造」を提言した。
【新鬼の手帳・伊原春樹】2年連続でBクラス。いくら来季までの3年契約が残っていたとしても、原監督も責任を取らざるを得ない結果だろう。17年間、お疲れさまでした。
次期監督は慎之助。適任でしょう。彼は昭和の男でもあるが、厳しいだけの男じゃない。指導者としては二軍監督やヘッドコーチなどで経験を積んできた。そして、初めての一軍監督。コーチ陣の組閣では、慎之助に〝原一派〟を一掃するぐらいの覚悟でやってもらいたい。ジャイアンツは一軍から三軍まであるが、コーチも多すぎるし、極論すれば(阿部新監督の母校の)中大OBで埋め尽くしたっていい。
現役生活を含め、原野球を近くで見てきたとはいえ、原監督と慎之助は別の人間だ。直近2年の順位は4位、4位。原監督の傍らに立ち、学ぶことも多かったと思うが〝この采配はどうだろう〟という思いも胸にしまっているはずだ。いいところは取り入れる。それ以外はすべて切り捨てる。それは慎之助自身が決めればいい。
1936年にプロ野球で公式戦が行われるようになって以降、巨人では慎之助が初めて捕手出身の監督となる。野手出身の原監督とは試合を見る目線も異なるだろう。何より投手心理を理解できる。これまで継投は原監督の独断で決めてきたようだから何も言えなかったかもしれないが、これからは慎之助が思うようにやればいい。交代のタイミングが違うと思ったことも一度や二度じゃないはずだ。リリーフもコロコロと代えることもないだろう。反対に、先発が完投寸前でも「もう目いっぱいだな」と判断すれば代えることもあるかもしれない。
巨人は勝たなければいけない球団だが「我慢」も必要だ。例えば、今季優勝した阪神。打線そのものはそこまで強くはない。だが、1、2番の打者の仕事ぶりととっかえひっかえしていた巨人を比べるとどうか。吉川の打順も定まらず、2年前に活躍した松原なんかはどこへ行ってしまったのか。1年やっても打てなければ、すぐに代えたり二軍に落としたり。もう少し我慢して教育すれば、そう簡単に負けたりはしない。私がヘッドコーチをやらせてもらった時に「この選手を使う」と言ったら、原監督も我慢して使っていたものだ。
監督が代われば、それまでくすぶっていた選手が「よしっ!」と奮起することもある。長年の原政権で少なからずマンネリもあっただろう。今は周囲から期待の目で見てもらえる。そういうことも踏まえて慎之助にはドシッと構え、〝慎之助カラー〟に染めてほしいと思っている。(本紙専属評論家)












