【赤ペン! 赤坂英一】今オフにメジャー移籍かと言われるDeNA・今永昇太(30)は「僕にないものをたくさん持ったお手本となる投手」がいる。「僕にないものが多過ぎて、いつもうらやましくなるほど」なのだそうだ。
誰かと思ったら、なんと3歳年下で同じ左腕の東克樹。今季は14勝を挙げて単独最多勝を確実にしている。そんな後輩のどこがどんなにスゴいのか、今永はこう言っている。
「東は味方に点を取ってもらった次の回だとか、この回は点を取られそうだなというイニングで、必ず相手を抑える。そこに、僕と東のものすごく大きな差があるんです」
なぜ、東との間にそれほど差が生まれたのか。
「1球1球の精度が違うんですよ。僕はいつも東と一緒にキャッチボールしてますけど、彼は本当に器用で、普通に投げているだけなのに、1球の精度がすごく高い。そういう僕が持ってないものがたくさんあるんです」
研究熱心な今永は東とキャッチボールをしながら、見よう見まねで東の投げ方にチャレンジ。東本人にも「同じような球を投げるにはどうしたらいいのか」と質問を重ねている。相手が後輩でも、吸収できるものなら貪欲に吸収しているのだ。
そうした先輩に東のほうはどう対応しているのか、質問してみた。
「いや、まあ、僕としては、今永さんとは普通に会話をしてるつもりですけどね。キャッチボールをしていて、どんな感覚で投げてるのか、お互い意見を交換したり、そういった話はいつも普通にしているので。僕自身も、今永さんから学ぶことはたくさんあります。相乗効果で2人とももっともっと上にいければいいな、と思っています」
そう言う東の14勝に引き換え、今永は半分の7勝。その分チームへの貢献度も低いわけで、今永には東に〝すまない〟という思いもあるようだ。
「東に(チームを)背負わせちゃいけないというのか、彼を1人にさせないようにしたいと思ってます。せっかく一緒に頑張ってるんですから」
そう気遣う先輩に、東のほうはこう応えた。
「いや、僕は背負ってるつもりはないですよ。僕のほうこそ、今永さんがいるから頑張ってこられたし、今永さんを超えようと思ってやってるんで」
その今永が来年、本当にメジャーに行ったら、2人して先発ローテを担うシーズンも今年限りとなる。だからこそ最後の最後まで、頂点を目指して頑張ってほしい。