【鈴木平 超二流~花の咲きどき~(最終回)】この連載のタイトルの元になっている「花は咲きどき、咲かせどき」というフレーズ。これは西鉄黄金期を率いた三原脩さんの言葉です。オリックスで僕がお世話になった仰木彬監督、中西太ヘッドコーチはその考えを引き継ぐ超一流の指導者です。

名コンビだった仰木監督(左)と中西ヘッド
名コンビだった仰木監督(左)と中西ヘッド

 ヤクルトで力を発揮できずにいた僕は、まさに「花の咲きどき」というタイミングで仰木監督に抜てきしてもらいオリックスの連覇、日本一に貢献することができました。

 仰木監督は超一流ではなくとも、一芸に秀でた“超二流”の選手を適材適所で起用し花を咲かせてくれました。

 ベンチの端から戦況を凝視して常にどうすれば勝てるかを考えていました。勝てる試合には連投になろうが好調の投手をつぎ込み1勝をもぎ取りに行きました。

 で、ベンチの反対側の端には中西ヘッドがドンと構えていました。序盤で6点ビハインドとかなっちゃうと「もう、明日に備えとけ~」とお手上げの雰囲気を出しちゃうんですよ。そんなの、もちろん野村ヤクルトでは考えられませんからね。

 どんな試合でも勝とうと思案する仰木監督がいるのに、そんなの平気なんですよ。そうやって全体を見渡して、雰囲気をつくっていたんだと思います。

 中西さんは本当に分け隔てなく選手に接してくれました。長距離打者だけではなく、小柄だった馬場敏史さんや大島公一さんにも熱心に打撃指導をされていました。普通は人間って、もうこれぐらいでいいだろうと思っちゃうものですけど、絶対に妥協しない人でした。上半身裸になって大粒の汗をかきながらね。

 基本的に中西さんは野手の担当でしたが、タイミングを見ては僕たち投手にも声をかけてくれましたね。試合後の風呂でも「ええんや、それでな。小さくまとまらんとダーッといけ」と声をかけてくれました。その言葉だけで、何でしょうね、ちゃんと見ててくれているんだなと安心感を得たものです。

 そういった感じでベンチの両端に野武士が構えていて、真ん中には山田久志投手コーチがいるんです。1年間、投手をどうマネジメントしていくのかを常に考えて、登板過多になるのを防いでくれていました。

 メンバー表に名前を入れながら上がりにしてくれたり、降板後に途中で上がらせてくれたりね。今なら大問題でしょうけど「打たれた投手がベンチでブスッとしていると雰囲気が悪くなる」と帰宅させてくれたりしましたね。一見、むちゃくちゃに見えますが救援陣をリラックスさせようと気を使ってくれました。絶妙のバランスの上で成り立っている、当時の神戸にあったオリックス・ブルーウェーブでしたね。

 一流の指導者の方々と一緒に野球ができて、一流の考え方を教えていただきました。その考え方は今の僕の中で生きています。高校球児の指導にも役に立っています。経験を生かして、治療家として、指導者として、いつか関わった子供たちをNPBに送り込みたいですね。

 最後に、この連載を読んでいただいた皆様、ありがとうございました。これをカズちゃん(長嶋一茂氏)も読んでくれてるといいんだけど。ホント久々に会いたいな。
       (おわり)