【鈴木平 超二流~花の咲きどき~(42)】現在、僕は治療家として患者さんたちと、指導者として高校球児たちと向き合って生活をしています。こういった未来を現役選手時代に想像していたのかというと、自分では記憶にはないんですよね。
ただ、自分がプロ野球選手としての終わりを意識したころ、オリックス時代の先輩の星野伸之さんに将来のことを語っていたそうなんです。
僕と星野さんは同じ1999年にオリックスを退団しているんですね。星野さんはFAで阪神に移籍。僕はトレードで中日に移籍しました。星野さんとは自主トレも一緒にさせてもらっていたんですが「そういえば何年か前にそんな(治療家を目指す)話をしていたよな。それが今まで続いてるって大したもんだよな」と今でも言っていただきます。
今、心がけていることは、それぞれの相手のテンションに合わせるということでしょうか。全員がプロ野球選手を目指してやっているわけではないですからね。中学野球でいいんだという子もいれば、甲子園を目指したい、プロを目指したいという子もいます。
球児たちによく言うのは「無理と無茶は違うよ」っていうことです。「無理をしなきゃいけない場面は多々あるけど、無茶をするのは一番最後だけだぞ」と。つまり、もう壊れてもいい、これが人生最後の真剣勝負の舞台という時だけ、自分にとって最後の夏の大会なんだったらやりましょうという考え方を伝えています。
高校2年生なら来年のためにやめておこう。大学に進学後は野球を辞めるなら無茶すればいい。草野球なら楽しめるし、ヒジが少々、曲がっていても就職してパソコンのキーボードくらい打てますから。
暴言だと言われるかもしれませんよ。でも、僕はこういった考え方を磐田南高でも生徒たち、親御さんにも伝えています。そして最後は、僕がオリックス時代に山田久志投手コーチから教わったみたいに、気持ちよくグラウンドに送り出してあげたいんです。
僕とはもちろん比べるつもりはないですが、お世話になったNPBの監督たち、野村克也さん、仰木彬さん、王貞治さん、星野仙一さんはそれぞれ絶対的なリーダーでした。ただ、その絶対的な存在であることにおいての表現の仕方が違いました。
北風と太陽ではないですけど、人を導く方法は人それぞれですから。自由にさせてくれた仰木さんも実は頑固で絶対な人です。仰木さんは非情が当たり前でしたが、最後の最後に情を入れてくる親分でした。
野村さんは当たり前のことができなきゃプロじゃないというラインを持っていました。星野さんは自分がシロと言えば絶対にシロでしたし、王さんはこまやかな気遣いの人でした。それぞれに違いはありますが絶対であるからこそシンプルで分かりやすい側面がありました。
僕が出会ってきた素晴らしい指導者の皆さんに共通することは、余分なことを言わないということです。投手コーチで言えば山田久志さんもそう。さらには山口高志さんはもっと言わなかった。必要なときに大事なことだけを伝える。これで十分だと思うんです。
山田さんは試合が始まると足を上げた時に真っすぐに立てているかどうかだけ見てくれていました。僕も高校生たちには、プロで結果を残している選手で真っすぐに立ててない選手はいないよねって伝えています。












