心揺さぶる103球だった。パ・リーグ3位のソフトバンクは3日の西武戦(ベルーナ)に3―2で競り勝ち、2カード連続の勝ち越し。勝率5割と借金生活を繰り返していたが、9日ぶりに貯金を1とした。6月8日以来の一軍登板となった森唯斗投手(31)が6回途中3安打1失点の力投。4月27日以来の2勝目を挙げ、チームを2週間ぶりの連勝に導いた。

「自分らしくできたんじゃないかと思う」。存分に持ち味が詰まっていた。145キロ以上の球速をマークしたのはわずか1球だけ。コントロールと技術、打者とのかけ引きで相手を上回った。唯一の失点は2回に外崎に浴びたソロ本塁打のみ。走者を背負っても動じず、要所をしのぐたびにお叫びを上げて力強く握り拳をつくった。

「ラストチャンスだと思っていた」。今季がプロ10年目、4年契約の最終年。かつての絶対守護神は、昨季終盤に藤本監督に先発転向を直訴し、この日が今季4度目の登板だった。
 
 勝利への執念と気迫が周囲に伝播した。初回に周東の三塁打でチャンスをつくると、柳田の二ゴロの間に先制。1―1の3回には、女房役の甲斐が2戦連発の10号ソロを放って勝ち越し点を奪った。森は6回二死一、三塁のピンチを背負ったところで降板。2番手・又吉が3球でしのぎ、その後を受けた救援陣もリードを守り抜いた。7回に貴重な3点目の適時打を放った近藤は「粘り強く投げてもらった。なんとか勝ちをつけたいという気持ちがあった」と、ナインの思いを代弁した。

 5日からは3ゲーム差で追う2位ロッテとの本拠地3連戦が待つ。「選手はまだあきらめていない」。森らしく、空気を変えた。