円熟エースの不安一掃はならなかった。巨人は25日の阪神戦(甲子園)に2―4で敗れ、借金生活に逆戻り。痛恨だったのは6回途中3失点ながら逆転2ランを被弾した菅野智之投手(33)だ。前回登板の17日ヤクルト戦(神宮)でプロ最短の1/3回6失点KOを食らい疑心暗鬼の状態に陥っていたという。

 チームの勢いを一振りで止められた。2―1の6回一死一塁、大山にカウント2―2から内角低めに投じたフォークを左翼席に運ばれた。決勝弾となった逆転2ランに菅野は肩を落とし、原監督は即座に交代を決断。あとをリリーフ陣に託して再逆転を狙ったが、打線は7回と9回の反撃機をいずれも併殺でつぶすなど精彩を欠き、菅野は3敗目(2勝)を喫した。

 連勝が2で止まり、再び借金1となった原監督は「あそこ(6回)何とかというところはあったけどね、まあ相手がちょっと上回ったというところですね」とし、前回登板との比較を聞かれると「そこは(菅野)本人に聞いてください。僕らがあれで満足していると思われてもしゃくだしね」と手厳しかった。

 1球が命取りとなった菅野は「一死一塁でホームランだけはだめだったので…結果がすべてなので。打ち取れるように、力で上回れるようにやっていきたいです」と力を込めた。ただ、プロ11年目の右腕がハマり込んだ沼は深い。登板間にはスコアラー陣と動作分析や対策に時間を費やしたと明かした上で「甘い球とはいえね、あんなに打たれることはまずない。打撃投手が投げたとしてもたぶん、あんな打たれ方はしないと思う」と疑問を口にしていた。

 2017、18年に2年連続で沢村賞を受賞するなど「絶対エース」として君臨してきた。そのキャリアからすれば「クセばれ」や「サインばれ」「配球ばれ」などは、にわかには考えにくい。しかし、実際に2本塁打を含む6安打を浴びてプロ最短KOを喫した当人からすれば原因を突き止めなければ気が済まない。そんな疑心暗鬼に陥っていた右腕には名伯楽から助言も送られていた。開幕直後からファームで菅野との二人三脚で〝魔改造〟に取り組んだ久保康生巡回投手コーチ(65)は「相手と場所が変われば大丈夫。神宮は現役時代、自分も投げづらかった。キャッチャーがまるで山の上にいてそれを目がけて投げるような感覚になると言った」とあくまで「球場との相性」と言い切ることで悩める右腕を安心させたという。

 投手にとっては白星が何よりの薬。今季3勝目を挙げられていれば、不安は一蹴できるはずだった。菅野にとって炎上ショックからの全快は次回以降に持ち越された。