阪神のドラフト1位ルーキー・森下翔太外野手(22)が9日のヤクルト戦(甲子園)の8回に待望のプロ1号となる決勝ソロを放った。スコアレスゲームの均衡を破る値千金の一撃で、1―0の勝利に大貢献だ。

 春季キャンプ時、岡田彰布監督(65)に「俺が新人だったころより上や」とまで評価された逸材は、オープン戦でも打率3割1分4厘、8打点、3本塁打の好成績で、開幕スタメンの座をゲットした。だがシーズン本番では悪戦苦闘。いつしかスタメンの座は剥奪され、二軍降格の屈辱も味わった。

 指揮官が「俺もずっとガマンして使ってるんや」とこぼした通り、試合前時点の打率は1割5分9厘。三振、一邪飛、死球とこの日も快音に恵まれていなかったこともあり、岡田監督の脳裏には「ゲーム終盤で森下をベンチへ下げる」選択肢もあったという。だが同日のデーゲームで行われた巨人―DeNA戦(東京ドーム)で「牧のホームランを(テレビで)見ててね。今日はもう中央デーかなと思った。で(交代させずに)残したんよ」(岡田監督)。牧の2学年下にあたる中大の後輩は、虎将の脳裏によぎった〝直感〟に見事に応えた。

 試合後の森下は「(プロ1号は)遅すぎたくらい。これからも接戦やいい場面で打ちたい」。牧との〝アベック弾〟には「あの人とまた一緒に同じチームでプレーしたいので(笑い)。自分も侍ジャパンやオールスターに選出される選手になりたい」と語った。

 森下は入団直後から「将来はメジャーでプレーしたい」「侍ジャパンに選ばれてWBCで活躍したい」と自身の夢を率直に何度も口にしてきた。新人があまりにも大きな風呂敷を広げすぎると、批判の的にされることも森下本人は重々承知している。「でも僕は小学生のころから『将来は絶対にプロになる』と周りに言い続けてきて、この世界に入ることができた。だからこれからも、しっかり自分の思いは口にしようと思っているんです」(森下)

 ビッグマウスと言われても構わない。自分の責任において夢を語り、必ず実現につなげる。強い意志と覚悟をもってプロの荒波に立ち向かう若武者が、ひとつ階段を上った。