【気になるあの人を追跡調査!野球探偵の備忘録】2019年の開幕スタメンに名を連ねながらもまさかの国指定の難病に見舞われ、22歳の若さでプロ生活を絶たれた元オリックスの西浦颯大氏(24)が、大阪・心斎橋でバーの店長として第二の人生を歩んでいる。「両側特発性大腿骨頭壊死症」による無念の引退から1年半。今春、巨人の練習を「意味のない練習にしか見えない」とツイートして大炎上したこともあった。ミナミの中心地で忙しい毎日を送る西浦氏が、現在の心境や今後の夢を語った。
高知の名門・明徳義塾では主軸として活躍。2年夏(2016年)の嘉手納(沖縄)との3回戦では満塁本塁打を放つなど、チームを4強に導いた。寮生活での苦労も絶えなかったようで「(馬淵)監督にもよくシバかれましたし、1年生の頃は寮のベットで寝たらあかんみたいなルールがあって、部屋の机に枕を置いて寝たりしてました。しんどかったですけど、あの時のおかげで根性が身についたと思います」と振り返る。
2017年のドラフト6位でオリックスに入団すると、2年目の19年に開幕スタメンをつかみ、77試合に出場。俊足と好守で存在感を発揮し、外野を任せられる逸材として大きな期待が寄せられた。ところが、翌2020年のシーズン終盤に下半身の激痛に襲われ、特定疾患「両側特発性大腿骨頭壊死症」の診断。育成選手となって2度の手術に踏み切った。懸命なリハビリを重ねて復帰を目指したが思いはかなわず、チームが25年ぶりの優勝に向けて奮闘する21年秋、球団に引退を申し入れた。プロ生活わずか4年、22歳の若さで残酷な現実を受け入れた。
直後の9月26日朝、中嶋監督から電話で京セラドームに呼び出され、試合前の円陣に参加した。「僕のためと思って優勝してください。優勝してもらわないと困ります!」と叫んでナインを鼓舞。志半ばでユニホームを脱ぐことになった自らの言葉が、チームの背中を押した。「前日飲みに行ってて二日酔いだったので、もっと早く連絡が欲しかったです」と笑いつつ、中嶋監督から「お疲れさん。お前ならどこに行ってもやっていける」と言われたことが次の人生への大きな励みになった。
「引退したら自分の店を開く」という夢を持ち、明徳義塾の先輩が経営する大阪・守口市のバーでアルバイトをして修行を積み、昨年10月に心斎橋にバー「ばるす」をオープンした。現在は週6日、午後5時から午前0時までばるすの店長として、その後は翌朝8時まで別のバーで働く日々だ。
ハードワークにも「断然現役で野球をしていた時の方がしんどかったです。あのころは下山コーチにつきっきりでやらされる練習が多くて、めっちゃきつかったですし、自分で考えてできる練習は自主練の時ぐらいだったので。体のケアをする暇もなかったですし。バーを始めた頃は自分で(経営や接客を)全部やるということに苦労したんですけど、今は慣れました」と笑顔を見せる。
今も応援してくれるファンのため、SNSでも発信を続けている。ユーチューブ「ニーシーCH」では野球ネタや同じ病気を経験したお笑い芸人の千原ジュニアとコラボするなど注目を集めたが、一方で巨人・岸田行倫が取り組んでいた「2000本ティー打撃」の練習動画に「意味のない練習にしか見えない」とツイートして大炎上。「現役のころはやらされる練習ばっかりやってきたんで、自分で考えてやっとけばよかったと思ってツイートしました」との軽い気持ちが波紋を広げ、謝罪動画を出すまでに至った。
セカンドキャリアを重ねながら新たな夢も描いている。「バーの店舗を増やしたい。人工股関節にすれば少しは野球ができるので、結果にとらわれず、野球を楽しめるような草野球チームを作りたい」。今も足の痛み、立ちづらさは消えていない。それでも前向きな姿勢は現役時代と何ら変わることはない。
【SNSで炎上→謝罪】西浦氏は今年の2月10日、巨人・岸田行倫が連続2000スイングのティー打撃を行う動画について「量より質 100回適当に振るくらいなら10回本気で振った方がよっぽど自分の為になる やらされる練習が一番意味ない 自分で考えてやらんと 上からすみません」とツイート。これにG党が反応し「現役に言う筋合いねーよ」「活躍してから言え」「一部の映像で判断するな」「外部が言うべきことではない」などと猛反発した。
西浦氏にすれば素直な感想をつぶやいただけだったが、発言の真意について2月18日に自身のユーチューブチャンネルで「岸田さんもコーチ陣も否定はしてない」としたうえでこう説明した。
「僕が言いたかったのは2000スイングできる体力のある選手もいれば、ない選手もいる。どっかで抜いたり手だけで打っちゃうこともある。自分の限界を分かって練習しないと打ち方がおかしくなったり、変なクセがついたりして結果が悪くなる。僕もそうだったから意味ないなって思った。意味ないって断言してるわけじゃないので巨人ファンのみなさん怒らないでください」と頭を下げた。
☆にしうら・はやと 1999年5月21日、熊本県八代市出身。中学時代にU―15日本代表に選出。明徳義塾で主軸を務め、2年夏の甲子園大会で4強入りした。2017年、ドラフト6位でオリックス入団。19年には開幕スタメンを勝ち取って77試合に出場したが、20年に国指定の難病「両側特発性大腿骨頭壊死症」と診断され、21年限りで引退した。現在はバー「ばるす」(大阪市中央区南船場)の店長。ユーチューブ「ニーシーCH」も開設している。












