山本由伸超えはなるか――。巨人の「若きエース」戸郷翔征(23)が初の「沢村賞」に向け一心不乱に腕を振っている。14日の西武戦(東京ドーム)では6回1失点の好投で7―1で勝利し、両リーグ単独トップの8勝目をマーク。チームに今季2度目の4連勝と今季最大の貯金3をもたらした。右腕が勝ち星を重ねる裏には、目標に向けた人知れぬ努力があった。

 背番号20が粘りの投球でチームを勝利に導いた。4回で84球と苦しみながら、要所を締め6回116球7安打6奪三振1失点。自身のスクイズと岡本和の16号ソロ、この日に通算1500安打を達成した中田翔の適時打などで快勝した。

 原監督は「球数が多い状態でね。それでもしっかりと1点に抑えたというところに価値がありますね」と右腕をたたえたが、戸郷は「制球に苦しんだ。完投を目指しながらやってましたけど、最初に球数使ってしまった。次は完封できるように頑張ります」と反省を口にした。

 投手キャプテンとしては当然、チームのV奪回が最大の目標も、それと同時に個人的な目標として「沢村賞」を掲げる。栄冠のためにはWBCで共闘した昨季のパ投手5冠で2年連続沢村賞のオリックス・山本を数字で超えなければならない。特に現在2である完投数を伸ばす必要がある。

 その目的に向け肉体強化に取り組んでいる。今年はWBCで春季キャンプは2週間と強化に使う時間が例年より減った。不足分を補うためシーズン中も強化を続けているという。

 現在、水曜ローテの戸郷は毎週月曜日はジャイアンツ球場で投手練習を行う。メニューを消化しファンへのサインを行ったあとはウエート場に1時間以上こもる。背番号20は「やっているのはウエートと体のケアですね。この時間が一番大事。普段はランニング量や投げる球数に制限が絶対にある。だからそれ以外のウエートや治療については制限をかけずにやっています」と明かす。

 その目的は「鍛えることを一番にやっていますね」とキッパリ。調子の維持よりも成長に主眼を置いているという。

 原点は新人時代にさかのぼる。2018年のドラ6右腕は体の線が細く体重増と筋力増加が最大の課題だった。ランニング、坂道ダッシュなどキツいメニューをこなして徹底的に下半身を鍛えた。

「あのころは若いからランニング量を増やしていました。走れる時に走っておかないと後々、走れなくなって投手寿命の縮まり方が違う。足腰や下半身の強さというのは粘りに出ていると思います」(戸郷)

 ここまで11試合に投げて1試合平均112球とタフさは増している。このまま戸郷が勝利と肉体強化を両立できるかどうかにチームの浮上もかかってきそうだ。