この対決は、かつての巨人・槙原対広島・大野に匹敵する名勝負になるかもしれない。そう思わせたのが、巨人・戸郷、DeNA・石田の2度にわたる熱い投手戦である。
両者が今季初めて投げ合ったのは4月18日の長崎。原監督から「ウチのエース」という称号をもらった戸郷が7回1/3を2失点と好投するも、石田が自己最長タイの8回を無失点に抑え、2―0で競り勝った。
先発の柱とは言えず、完投も一度もない石田にとって、この勝利は大きな自信になったという。
「自分もあそこまで投げられるんだと思った。目の前の打者をひとりずつ打ち取っていけば、最後までたどりつける。そこまで任せてもらえるように、チームの信頼を勝ち取っていきたいです」
このリターンマッチが5月25日、東京ドームで実現した。今度は石田が岡本和のソロ本塁打による1失点に抑えるも、戸郷がそれ以上の力投を見せて1―0完封勝ちである。
戸郷といえば真っすぐとフォークの印象が強いが、この日はスライダーを多投。「スライダーで空振りも三振も取れた。“ニュー戸郷”ができたかな」と胸を張った。
常に新たな課題に取り組む貪欲な姿勢は、巨人投手陣の中で随一。昨季は桑田投手チーフコーチ(現ファーム総監督)に積極的に助言を仰いで、川相総合コーチが投手陣を集めてバントを教えるときは、最も熱心に質問を重ねていたという。
この両者の投げ合いを見て思い出したのが1988、89年に槙原、大野が演じた名勝負である。
最初は88年5月28日の旧広島市民球場。ここまで大野が6連勝なら、槙原も5月4勝3完封。ともに絶好調のエース対決は延長10回、大野が新人・勝呂にプロ初本塁打を打たれて決着した。
両者の再戦は翌89年5月20日、同じく旧広島市民球場。当時、広島は首位を走り、巨人が追い上げている最中だった。
「点が入らなくても絶対に引き分けにする。1点もやらないつもりでないと、大野さんに勝てない」
そう言う槙原に、大野もこう応酬した。
「槙原との試合は先に点を取られたら負け。点が入ったら勝負が決まる」
この試合も0―0のまま延長戦に突入。最後は延長12回、大野が駒田に痛恨の2点タイムリーを打たれて惜敗した。
この年5月、槙原は5勝を挙げて月間MVPを受賞。「大野さんに投げ勝ったことが自信になりました」と話している。戸郷と石田にも、あんな大投手になってほしい。













