【グラゼニ球論・金村暁】9日のヤクルト戦。阪神・村上頌樹投手(24)は、開幕からの連続無失点イニングが31イニングで止まったとはいえ、ナイスピッチングでした。
ヤクルト打線とは先月29日以来、今季2度目の対決。6回まで三塁を踏ませず、4安打7奪三振。60年間も破られなかった記録に肩を並べました。それだけでも、すごいことで、大いに自信になるはずです。
一方で、今後に生かしてほしいのは、1球の怖さ。〝新記録〟がかかった7回の先頭サンタナに浴びた一発は、この日唯一と言ってもいい真ん中へ入った直球の失投でした。最終的に7回103球、5安打1失点。先発としては文句なしの仕事を果たしたにもかかわらず、結果として敗戦投手となった悔しさは、この先でのシーズンでぜひとも晴らしてほしいなと思います。
今年、何よりも成長を感じるのはマウンドでの雰囲気。私は昨年まで阪神の一軍投手コーチでしたが、その立場で何より感じるのが、メンタル面の成長です。もともと独特な軌道の直球と変化球も高いレベルで操ることができるなど、高いポテンシャルは持っていました。しかし過去2年間は、いざ一軍となるとそれを発揮しきれずに終わってしまう。昨年まで何度か見たことがあったマウンドでオドオドしたような空気感が一切、感じられなくなったこと。もちろん、それだけの手応えが本人にもあるのでしょう。
技術的にレベルアップを感じたのは、カットボールの平均球速がアップした点。昨季まで130キロ台前半だったこの球が、今年はコンスタントに130キロ後半~140前半を計測するようになっています。これが打者目線でも、非常にやっかいな球種になっているのではないかと感じます。もともと直球はナチュラルなカット軌道。この2つの球種の見分けが極めてつきにくい状況になっている分、打者は150キロに満たない直球でもタイミングを取ることができず、結果的に差し込まれることが多くなっています。
この日は悔しい結果に終わりましたが、むしろ前向きに捉えるべきは、2度目となった対戦相手にも、すべての球種で自分の投げるボールが変わらずに通用していること。今後が楽しみであることに変わりはありません。(本紙評論家)












