強さの要因は――。25日に閉幕したフィギュアスケートの世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)で、日本勢は過去最多となる3個の金メダルを獲得した。シングルでは女子の坂本花織(22=シスメックス)と男子の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)が、日本史上初のアベック連覇を成し遂げ、26日のエキシビションに出演。取材に応じた2012年大会銅メダルで五輪2大会出場の鈴木明子氏(37)は、男女エースが持つ〝一流の条件〟を指摘した。
自国開催の大一番で結果を残した坂本はフリーでミスが出たものの、合計224・61点で連覇を達成。鈴木氏は「パーフェクトな演技で優勝したかったとは思うが、ミスをしても最善を尽くしたことが優勝につながったと思う」と評価した。
勝利の〝カギ〟となったのは、3回転トーループだ。フリーの後半に組み込んだ3回転フリップ―トーループの連続ジャンプは、フリップの回転が抜けてしまったが、3回転トーループを決めきった。「フリップの後に、次のトーループをつけるまでのタイミングが早かった。とっさに抜けてしまっても、体が反応して、次のセカンドジャンプを跳ぶ体勢に持っていけるところがすごい」
抜群の対応力を発揮してつかみ取った頂点。坂本は、さらなる進化を求めてダンスやバレエを取り入れ、表現力も磨く方針だ。鈴木氏は「今季は動きが多彩になった印象。坂本選手の持ち味でもあるダイナミックかつスピード感のある演技に、繊細さがより磨かれたら、さらに表現に深みが増してくるのでは」と期待した。
トップスケーターに必要なことは「現状の中でできる自分の最善を尽くすこと」。坂本は失敗を引きずらず、可能な範囲で最高のパフォーマンスを披露。宇野も同様の能力で表彰台のテッペンに立った。
宇野は大会前の取材で「今季一番ひどい」とジャンプの不安を吐露。さらにショートプログラム前日の公式練習で右足首を負傷した。それでも終始安定した演技を見せ、合計301・14点で連覇した。鈴木氏は「技術的、精神的なレベルが高いからこそ、毎回絶好調とはいかない中でも、今の自分のやれることがきちんとできている。そういうところはやっぱり坂本選手も宇野選手も練習のたまものだと思う」と強みを挙げた。
その上で宇野のメンタル面について「自分の状態が悪いときも、その状況を受け入れている感じがする。普通はなかなか勝ちたいときに状態が悪いと思いたくないが、悪い部分を受け止めて、できる限りのことをやりきる強さがある」。宇野はフリーで4回転サルコーの着氷が乱れるも、その他の4回転ジャンプはきっちり成功させるなど大崩れしなかった。
世界選手権3連覇という偉業に挑めるのは日本が誇る男女エースのみ。新たな快挙も決して不可能ではなさそうだ。












