新日本プロレス「NEW JAPAN CUP(NJC)」決勝戦(21日、長岡)は、SANADA(35)がデビッド・フィンレー(29)を下し悲願の初優勝を果たした。シリーズ中に「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)」を脱退し「Just 5 Guys」に加入。覚醒の裏には環境の変化に加え、かつての師匠・武藤敬司からもらった〝屈辱の一言〟がある。

 バレットクラブの新リーダー、フィンレーとの決勝戦は、一進一退の攻防が続いた。トラッシュパンダ(変型ネックブリーカー)を狙われたSANADAは体を入れ替えて着地すると、シャイニングウィザードを発射。最後は変型DDTで激闘に終止符を打った。

 NJC覇者として4月8日の東京・両国国技館大会ではIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカへの挑戦が決定。「オカダ一色だったそのベルト。俺が景色を変えてあげますよ」と宣戦布告した。

 レスラー人生の転機と言っていいシリーズだった。17日の準々決勝、内藤哲也戦で勝利後にLIJを脱退しタイチらが結成した新軍団に合流。「あと一歩」のところでトップを逃し続けてきた過去の自分から生まれ変わるために、環境の変化を選んだ。

 実は直前にも「このままではダメだ」と痛感する出来事があった。2月21日に東京ドームで行われた武藤の引退興行でのこと。引退試合の相手を務めた内藤のセコンドとして会場入りしたSANADAは試合前、あいさつのため武藤の控室を訪れた。すると「今日はファンで来たのか?」とまさかの一言が…。もちろん武藤なりのジョークだったが、苦笑いするしかなかったという。

 SANADAは「武藤塾」の1期生として2007年3月に全日本プロレスでデビュー。内藤ではなく自身がプロレス界のトップランナーとして引退試合の相手を務めていれば、最高の恩返しになるはずだった。

「アントニオ猪木さんの引退試合でモハメド・アリがタキシードを着用されてたので、タキシードを着て行ったんですけど…。(内藤の)セコンドに就いてて試合中に切なくなりました。『俺、何やってるんだろう』って。本来だったら俺は、コスチュームを着て戦ってなきゃダメでしたよね」

 屈辱の〝ファン扱い〟は、師匠からの最後のゲキと受け止め発奮。もちろん、NJC優勝は通過点にすぎない。16年のレスラー人生で、いまだに団体の最高峰シングル王座を獲得できていないからだ。

「(IWGP世界王座を)取ったら(武藤も)何かを感じてくれるかもしれないですね。一度も褒められたことないので、一回取ったくらいじゃ、またマウントを取られるだけかもしれないですけど」。つかみ損ねてきた頂点の座は、もう目の前にある。