「チェコの鉄人」が元気にグラウンドに立っていた。WBC1次ラウンドB組のチェコは12日、東京ドームで韓国と対戦。終盤に追い上げを見せたが、3―7で敗れた。

 前夜の日本戦で佐々木朗希(ロッテ)の162キロの剛速球を左ヒザ付近に受けて状態が心配されたウィリー・エスカラ外野手(24)は「7番・左翼」で先発出場。3打数無安打に終わったが、7回の守備で退くまでハツラツとプレーした。

 前日の試合後、病院で診断を受けた結果は「骨に異常なし」だったという。チェコ代表関係者によると「本人から骨にまともに投球を受けたという申告があった時点で、最悪の事態も想定されましたが、診断結果を聞いてチームのみんなが驚いていました。今日のロッカーでは周囲から『鋼の肉体だな』とか『お前は鉄人だな』と声をかけられていました」と、韓国戦前の舞台裏を明かした。

 別のチーム関係者によると「きっと痛みが残っているはずですが、エスカラは一切痛がるそぶりを見せず球場にやってきました。ハジム監督は彼の気概を買って頭から起用したようです。本人も『今、日本で過ごす一瞬一瞬が人生において特別な時間で、グラウンドに立てることは名誉なんだ』と出場に強い意欲を示していたので、監督の起用を意気に感じてグラウンドに飛びだしていきました」と語った。指揮を執るハジム監督は、神経科医。指揮官は医師としての視点も併せ持ち、総合的な判断を下したはずだ。

 エスカラは今月上旬、宮崎合宿の守備練習中に顎をフェンスに強打して病院で検査を受けたが、その際もすぐに練習復帰。もともと頑丈で痛みに強い選手だった。

 前夜、グラウンドに伏して悶絶しながらも立ち上がり、一塁へ自らの足で歩み、右翼方向へならしのダッシュを見せたエスカラ。その振る舞いとこの日のハツラツとしたプレーが、死球を与えてしまった佐々木朗を精神的にも救ったはずだ。米国の大学に通う24歳は、日本でかけがえのない時間を過ごしている。