初出場のアマチュア軍団が完敗も「清々しい」と話題となっている。WBCチェコ代表は11日の日本戦(東京ドーム)で先取点を奪ったが、最後は2―10と大敗を喫し、1勝1敗となった。

 プロ組織のないアマチュア選手で構成されるチェコ代表のハジム監督は「本当に満席の会場でプレーできたこと。そしてこの大会で勝てる試合ができたこと。感激の感情以上に何もありません」と感慨深げに語った。

 序盤は侍ジャパンを慌てさせた。初回は佐々木朗(ロッテ)から3番・フルプが163キロ直球を弾き返して左翼線二塁打を放つと、続く4番・チェルベンカは遊ゴロに倒れたと思われたが、中野の一塁悪送球で先制点が転がり込んだ。

 指揮官は佐々木朗について「本当に素晴らしい投手です。どの監督でも自分たちのチームに入れたいと思う。本当に日本の栗山監督がうらやましいです」と脱帽しながらも「一番速い直球を恐れていたが、それに対してなんとか立ち向かうことができた。これを私はとても大きな喜びだと感じています」とチェコ打線の奮闘にも目を細めた。

大谷翔平を3球三振に仕留めたチェコのサトリア
大谷翔平を3球三振に仕留めたチェコのサトリア

 先発のサトリアは120キロ台の〝遅球〟を駆使して侍打線を翻ろう。結局、3回に捕まって5安打3失点で降板したが、この回に大谷(エンゼルス)を3球三振に仕留めて〝記念球〟を手にし、大喜びする一幕もあった。ハジム監督は「少し日本の打撃陣を驚かしてやりたいという気持ちだった。大谷翔平はどれだけヒットを打っているかは数えきれない。その彼から三振を取ったことは、私たちはもう一生涯忘れられない。(サトリアは)もう死んでもいいような気持ちだったと思います」と熱く代弁した。

 試合後、ハジム監督は東京ドームの大観衆に向かって拍手を送るなど、清々しい表情でベンチで引き揚げた。会見では「日本の野球ファンは世界一だと思う。個人の選手としては、鈴木イチロー選手がおそらく世界一だと、私は思っています」と語った。SNS上では「チェコの選手」がトレンド入りするなど「清々しい敗者」として話題となっている。

 これまでチェコ国内の野球普及はそこまで浸透していなかったが、WBC初出場を果たし「自然に高ぶってくると思う。ベースボールのパワーをみんなに知らせることができたと思う。もっといい成績を残したいと思うが、野球は数段上がると思う。チェコの人気あるスポーツの上位に入ると思う」とチェコ野球のレベルアップに期待を寄せた。