〝プロレスリングマスター〟こと武藤敬司(60)が21日、東京ドームで内藤哲也(40=新日本)との引退試合に臨み、華々しく散った。
武藤は2022年1月に左股関節唇損傷と診断され、長期離脱を余儀なくされた。5月21日の大田区総合体育館大会でリング復帰は果たしたものの、ケガの完治が望めない状況だったこともあって引退を決断。6月12日にさいたまスーパーアリーナで行われた「サイバーファイトフェスティバル」で正式に発表した。
その後、7月の清宮海斗とのシングル戦から「武藤敬司ファイナルカウントダウンシリーズ」をスタートさせたが、今年1月22日の横浜大会で化身である〝魔界の住人〟グレート・ムタのラストマッチで両太ももを肉離れしてしまう。これで医師から全治6週間と診断され、完治せぬまま引退試合を迎えることになった。
試合は同期の蝶野正洋と親交のある元K―1世界王者・武尊が放送席から、長州力、藤波辰爾、野田佳彦元総理が観客席から視線を送る中、スタート。脚の具合を確かめるように最初に軽く跳ねた武藤は、グラウンドの攻防に引き込んでアームロックやアキレス腱固めで痛めつける。さらにフラッシングエルボー、STFと続けてペースをつかみにかかった。
しかし、花道で座らされて長距離助走からの低空ドロップキックを被弾するなど反撃を受け、徐々に押し込まれる。そこから内藤の得意の攻撃を連続で被弾すると、古傷を抱えるヒザを攻められて悶絶した。
だが、武藤も意地を見せる。ロープ越しの低空ドロップキックとドラゴンスクリューを決めてから足4の字固めで捕獲し悲鳴をあげさせた。ここから足攻めのスイッチを入れた武藤だが、ドラゴンスクリューを狙った所をかわされ、レッグシザーズネックロックで捕まる。
攻め込まれた武藤は同期の故橋本真也さんが得意とした袈裟切りチョップで動きを止めてから天に向かいプロレスLOVEポーズを決めてからDDT。さらに故三沢光晴さん必殺のエメラルドフロウジョンを放ってから閃光魔術弾を挟み、禁断の月面水爆の態勢に…。しかし、飛びきれずコーナーを降りて悔しそうにエプロンを叩いた。
その後、会場の武藤コールに背中を押されるように足4の字固め、閃光魔術弾と攻め込むがカウント3は奪えず。ならばと再び月面水爆を狙うがやはり飛びきれず、コーナーから降りた。するとそこに待っていたのは内藤の低空ドロップキックだ。これで一気に動けなくなったところにドラゴンスクリュー、閃光魔術弾、足4の字固めと〝掟破り〟のフルコースで追い込まれる。
これまで数々の選手を葬ってきた技を受けてダメージを蓄積させられた武藤は、最後に必殺のデスティーノで叩きつけられてなす術なしで3カウントを聞いた。試合後、内藤と拳を合わせて握手した武藤はマイクを持ち「東京ドーム、たくさんのご来場ありがとうございます。39年間、続けてきたプロレスを今日で引退しますが、武藤敬司のプロレス人生は最高に幸せでした。みなさんのおかげです。ありがとうございます。自分がいなくなってもプロレス界はますますばく進していきます。どうかこれからもよろしくお願いします」とあいさつする。
すると、ここで武藤らしいサプライズをしかけた。「というところで、まだ自分で歩いて帰れるし、ちょっとエネルギーも残っているし、まだ灰になってねえや。どうしてもやりたいことがひとつあるんだよ。蝶野。俺と、戦え! 服部さん、さばいて」とブチ上げたのだ。
これに蝶野と観客席のタイガー服部が応じ、まさかの〝追加引退試合〟がスタート。試合は蝶野からビンタ、ケンカキック、STFをくらって武藤がギブアップし、もう一つの引退試合も終了した。
その後古舘伊知郎による詩の朗読の後、花道を歩いた武藤はプロレスLOVEポーズを決めてレスラー人生に幕を閉じた。












