NOSAWA論外(46)が、ノアの武藤敬司引退興行(21日、東京ドーム)で28年のプロレスラー人生にピリオドを打った。

 ラストマッチでは東京愚連隊の盟友・MAZADAと組み、新日本プロレスの外道、石森太二組と対戦した。

 試合はMAZADAと奇襲をかけてスタート。好連係を繰り出し石森の顔面にMAZADAが低空ドロップキックを打ち込む。

 中盤に外道と対峙した論外は殴り合い、外道クラッチをかわすとラ・マヒストラルを炸裂。だが、石森にスライディングジャーマンを決められ、Bone Lockで捕獲されてしまった。

 すると論外は「来い石森! 刈ってくれ!」と手を広げ石森に〝介錯〟を求める。最後は4分43秒、感極まった表情の石森からブラディークロスを食らい3カウントを献上した。

 1995年12月にPWCでデビューし、DDTの旗揚げに参加。その後メキシコやアメリカマットを席巻し、近年は「ペロス・デル・マール・デ・ハポン」としてGHCジュニアタッグ王座を戴冠するなどノアマットで活躍した。

 現役生活28年間で首、腰、ヒザ、肩、手首に負ったダメージからドクターストップがかかったため、昨年10月に引退すると発表。縁の深い武藤とともに歩んだ引退ロードを終えた。

 試合後「痛え…」とバックステージに現れた論外は「キツくて、もう5分もリングに立てない体だけど、28年間プロレスやってきた中で一番いい試合だったんじゃないかな」と胸を張った。

 その後は時折、言葉を詰まらせながらも「特別な気持ちとかはないけど…本当はやめたくないからこんな感じなっちゃって」と本音を吐露しつつ「今までプロレス界だけじゃない、世間の問題児をいろいろしてくれてありがとうございました」と目に涙を浮かべた。

 最後に論外は「明日から一般人なので、この28年間の俺の人生を自伝『人生ハードコア』を制作しています」と宣伝をし、「これを10巻くらい出したら印税で食べていけると思うので。今から文化人としてやっていくので。ありがとうございました」と深々と頭を下げた。

 一方の石森は「何とも言えない気持ちだよ。20年前に出会ったときはNOSAWA論外を介錯するとは思わなかったけど」と涙。さらに「この時代にNOSAWA論外というプロレスラーがいたことを忘れないでほしい。今日はここまでだ」と口にしバックステージを後にした。