“プロレスリング・マスター”こと武藤敬司は、いよいよ21日ノア東京ドーム大会で内藤哲也(新日本プロレス)と引退試合を行う。4日には“怪物”ビル・ゴールドバーグが、ノアの公式ユーチューブチャンネルを通じ「素晴らしい男で素晴らしい人柄、プロレス界で尊敬する存在だ。この言葉に尽きる」と惜別のメッセージを送った。

クラークをKOした武藤とゴールドバーグ(右)。まさに一夜の夢だった
クラークをKOした武藤とゴールドバーグ(右)。まさに一夜の夢だった

 ゴールドバーグは1997年6月に米WCWマットでデビュー。当時は武藤の化身、グレート・ムタがハルク・ホーガン率いるnWoに加入し、WCWマットで暴れ回っていた。怪物は「ファンとして見ていて、そして近くで学ぶようになった。あなたの試合を見ることができて本当に良かった」と感謝の意も表した。

 2003年1月19日にK―1と全日本プロレスが開催した「W―1」の東京ドーム大会では武藤とゴールドバーグの黄金タッグが実現。「俺にとって最高の名誉であり、決して忘れない。一緒に過ごした時間は俺にとって特別なもの。助けてもらったことは本当に感謝している」と最上級の賛辞を寄せている。

 確かに同大会でのゴールドバーグ登場は衝撃的だった。本紙は黄金タッグの試合詳細を報じている。

「武藤敬司とビル・ゴールドバーグのスーパーコンビが、クロニック(ブライアン・アダムス、ブライアン・クラーク)に貫禄勝ちした。ゴールドバーグは参戦決定後から音信不通のままで、武藤は捜索願を出していたが、武藤がリングに登場した直後に東京ドームの最寄り駅JR水道橋駅に電車で到着。降っていた雨が途端にやむ中、4人のSPを連れて堂々とリングに上がった。相手のクロニックは昨年7月に武藤、太陽ケア組と激突。武藤からフォールを奪い、世界タッグ王座から転落させている。ただしゴールドバーグは根っからのシングルプレーヤー。ゴングが鳴ると、武藤との連係はいまひとつでクロニックを攻めきれない。ゴールドバーグはクラークに腕十字固め、武藤はアダムスにドラゴンスクリューから足4の字固めの必殺フルコースにいったが攻めきれない。コンビプレーを売り物にするクロニックはゴールドバーグにWチョークスラムで叩きつけた。意外なピンチに見舞われたが、そこはスーパースター。ゴールドバーグがWラリアートで吹き飛ばし、武藤がアダムスにドンピシャのタイミングでシャイニングウィザードだ。最後はゴールドバーグがクラークを机めがけてスピアーで打ち込み、豪快なジャックハマー。かみ合わないチームワークをよそに、個人の実力だけで3カウントを奪った。ゴールドバーグは米・WWEから3月の『レッスルマニア19』(シアトル・セーフコフィールド)参戦をオファーされており、今後の来日は難しくなる。まさに一夜限りの夢タッグとなった」(抜粋)

 ゴールドバーグはこの記事通りに3月31日からWWEに登場。祭典には参戦しなかったが、ロウでWCWと同様の怪物ぶりを発揮。ザ・ロックやエボリューション(トリプルH、リック・フレアー、ランディ・オートン、バティスタ)と激しい抗争を展開。04年に一度退団するも、16年10月に約12年ぶりの電撃復帰を果たし、WWEユニバーサル王座も獲得。18年には殿堂入りを果たした。

 その後は再度のリタイア期間を経て、19年に復帰。19年6月にはサウジアラビアで“怪人”ジ・アンダーテイカーと歴史的な一戦を争った。その後もビッグマッチでスポット参戦を続けた。

 同大会を最後に接点はなくなっただけに「W―1」での武藤とのタッグはまさに夢の組み合わせだった。かつての盟友ゴールドバーグの思いも背にして、武藤は最後のリングへと向かう。 (敬称略)