【グラゼニ球論・金村暁】私の現役時代の古巣・日本ハムで楽しみなのが、ドラフト1位の投打二刀流・矢沢宏太投手(22=日体大、左投げ左打ち)です。捕手の後ろから見させてもらった3日の初ブルペンでも、非凡な才能を感じました。
直球、カーブ、スライダー、ツーシームを投じた40球で、カーブとスライダーはすでに一軍レベル。特に縦に割れるカーブはブレーキがかかるのがベース板に近く、落差も大。昭和時代のいわゆる「ドロップ」と言われたカーブで、打者の目線やタイミングを外すのに有効なだけなく、時にはウイニングショットにもなる「空振りを奪える」カーブでした。さらに直球と同じラインから打者の手元で真横に鋭角に切れ込むスライダーもまた、カーブと同じく〝決め球〟にもなるポテンシャルを持っています。
一般論で言えば、一軍で活躍する先発投手は最低でも2つ以上、キレや制球面も含め自在に操れる変化球を球種に持っています。彼はすでに、それをクリアしている。さすがドラ1の即戦力投手だなと感じました。
ただ、だからこそこのキャンプでしっかりと磨いてほしいのが、最速152キロの触れ込みの真っすぐです。この日はその直球がバラバラ。変化球後の直球は浮きやすく、制球に注意が必要なのは、投手なら誰もが分かっている基本的なこと。仮に今日の投球が公式戦だとしたら、芳しい結果にはならないと思います。
プロの世界では、対戦が一巡するころには、間違いなく真っすぐが制球できていないと見切られ、結果、変化球を狙い打たれる確率も高まるからです。これでは、せっかくの変化球も威力は半減してしまいます。逆を言えば、今後は直球の質さえ上げていけば、直球と変化球を組み合わせた形で1年目から一軍で通用するだけの〝ピッチング〟ができるはずです。
投打二刀流に挑戦中で起用法については、常に打者との兼ね合いで決まるとは思いますが投げる方では、まずは真っすぐ。キレのある直球をいかに高い精度で四隅に制球できるか。今後はシート打撃や実戦登板など対打者との対戦機会で、キレや威力でどれだけ空振りやファウルを取り、打者を差し込めるか。真っすぐだけも追求すべき視点は多岐にわたります。
魅力ある2つの変化球を生かすためにも、キャンプのブルペンでは、とことん直球にこだわって、その精度を高めていければ、投げる方ではおのずとプロ1年目から成功への道も見えてくるはずです。(本紙評論家)












