球春到来。プロ野球が1日に西武を除いた11球団がキャンプインした。新監督を迎えた阪神、広島、ロッテ、西武(6日始動)がどんなキャンプとなるかも気になる一方、就任2年目を迎えた日本ハムの新庄剛志監督(51)は「今年は本気出す」とおちゃらけナシのガチモードを宣言。初日に行われた紅白戦で「影武者指導」を繰り出し、周囲をあっと言わせた。

 日本ハムの新庄監督がキャンプイン初日から異例の指導法を披露し話題を集めている。それが試合中に首脳陣がプレーごとに選手のかたわらで指示を与える「影武者指導」だ。

 通常紅白戦での首脳陣の動きと言えば、ベンチや持ち場で選手の動きを見守るもの。だが、この日は試合開始前から違った。新庄監督、稲葉GM、森本外野守備コーチの3人がそれぞれ中堅、右翼、左翼の守備位置につくと、各々が新庄監督の動きに合わせ連係や距離感を確認。その後、試合開始のためにポジションについた選手らに助言を与え始めたのだ。

 これだけでも「丁寧な指導」となるわけだが、驚かされたのはその直後。何と試合が始まっても新庄監督ら3人の首脳陣は各外野手の後ろに「居座り」。〝6人外野〟の状態で、そのまま一球一球、黒子や影武者のように寄り添いながらの指導をグラウンド内で送り続けたのだった。

 実戦最中でのまさかの直接指導。紅白戦だからこそできる方法とも言えるが、その意図は何だったのか。

 練習後に新庄監督はその理由をこう語った。

「紅白戦の前にオレたちが現役時代にやっていた動きを選手に教えよう、って。センター中心に実戦で(連係が)成功して(各自の)自信につながってくるから。それが信頼関係にもなるしね」

 新庄監督、稲葉GM、森本コーチの3人と言えば日本ハム黄金時代の2006年にチームを日本一に導いた鉄壁の「外野トリオ」。球界の守備職人に与えられるゴールデン・グラブ賞を3人同時受賞したのもこの年だった。

 今季の日本ハムは堅守による「守り勝つ野球」を掲げている。そのためには失点に直接つながる外野守備力の向上は必須。だからこそキャンプイン初日の紅白戦から指導に踏み切ったのだろう。

 しかも、試合中の「影武者指導」は各選手、すぐに実行できる即行力も兼ね備える。実際、指導を受けた左翼・松本剛も「(自分の守る)近くで教えてもらうことって今まで正直なかったので。参考になりましたね」と笑み。右翼で指導を受けた二刀流ルーキー・矢沢(日体大)も「その場その場で言ってくださるので。実際の試合ではそんなに細かく(近くで)話してもらえる機会はない。すごく貴重な経験だった」と新たな指導法に満足げな表情を浮かべていた。

 同じ練習や実戦では長期に及ぶキャンプは持たない。特に昨季リーグ最下位に沈んだチームを短期間で急成長させるには一風変わったアイデアや練習法で選手を乗せていく必要がある。

「(今日の紅白戦のような)ワクワク感はものすごく大事。惰性にならないような練習方法も俺たちが考えていかないといけない」(新庄監督)

 キャンプ初日から新たな〝新庄流〟でチーム浮上を模索するこの動き。ガラガラポンで打順を決めるなどの〝おちゃらけナシ〟でも、その発想力は飛び抜けている。昨季とは一味違う「劇場第二幕」は派手さはなくても着実にナインのハートをつかみ始めている。