名門の命運を変える「最後の一手」は、扇の要に潜む大砲の強奪か。米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は21日(日本時間22日)、今夏のトレード市場でヤンキースがアスレチックスのシェイ・ランジェリアーズ捕手(28)の獲得に乗り出す可能性を伝えた。期限は米東部時間8月3日午後6時(同4日午前7時)。ヤンキースは56勝44敗でア・リーグ東地区2位につけ、首位レイズを1・5ゲーム差で追う。ポストシーズン進出と世界一奪回へ、残された時間は少ない。

 今季初の球宴にも選ばれたランジェリアーズは、20日(同21日)終了時点で打率2割6分、22本塁打、OPS0・819。昨季も31本塁打を放ち、ここ2季で計53本塁打を積み上げた右の長距離砲だ。2028年まで球団保有権があり、FAとなるのは同シーズン終了後。長く正捕手を託せるだけでなく、打線の破壊力を一気に引き上げられる。

 対照的に、ヤンキースはオースティン・ウェルズ捕手(27)ら捕手陣が打率1割7分6厘、OPS0・521、wRC+46とメジャー最低水準に低迷。強打の右打者を加えられれば、長年の懸案を一夜で解消できる。ジャッジを故障で欠く打線にとっても、これ以上ない特効薬だ。

 アスレチックスは43勝57敗でア・リーグ西地区4位。買い手に回る状況ではなく、リーグ内では「売り手」転向の観測が強まる。ランジェリアーズとの長期契約交渉がまとまらなかったとされ、放出へかじを切る余地も生まれた。

 ただし、今すぐ手放す必要はなく、安売りする理由もない。「ON SI」は交換要員の軸としてヤンキース傘下屈指のジョージ・ロンバード・ジュニア内野手(21)を挙げ、複数の上位有望株に加え、ウィル・ウォーレン投手(27)かライアン・ウェザーズ投手(26)ら即戦力の上積みも必要と分析した。

 未来を守って今季を落とすか、未来を削って勝負に出るか。ヤンキースが生き残るには、痛みを恐れている余裕はない。ランジェリアーズを射止める大型トレードは、ブロンクスの今季を救う一手となる半面、球団の将来を左右する大博打にもなる。まさに乾坤一擲の勝負だ。