夢の「銀河系ローテーション」は、幻のまま終わる公算が大きくなった。米スポーツ専門局「ESPN」(電子版)は21日(日本時間22日)、トレード期限を前に最大の目玉とされてきたタイガースのタリク・スクバル投手(29)について、最有力候補と目されていたドジャースが獲得に動かない可能性が高まったと報じた。

 背景にあるのはタイガースの急反転だ。エンゼルスとの3連戦を2勝1敗で終え、7月は最初の14試合で10勝。6月以降も25勝15敗と盛り返し、勝率5割未満ながらア・リーグのワイルドカード圏まで4・5ゲーム差に迫った。2年連続で同リーグのサイ・ヤング賞に輝いた左腕を手放さず、今季の大逆襲に懸ける選択肢が現実味を帯びている。

 ドジャースが動かない理由は大きく3つある。第一に、山本、大谷、スネル、グラスノーという短期決戦用の先発4枚をすでに抱えていること。大谷がレギュラーシーズン後半戦では当面「投げない」ということも含め故障者の復帰が前提とはいえ、他の先発要員も名を連ねている現況においてスクバルは確かに絶対不可欠な補強ではない。

 第二に、資金ではなく有望株を代償とする大型トレードを球団が好まない点だ。アンドリュー・フリードマン編成本部長はFA市場で大金を投じる一方、長期間保有できる若手の放出には慎重を貫いてきた。第三に、目先の3連覇だけでなく、将来も勝ち続ける土台を守る必要がある。スクバル獲得には少なくともマイナー選手3人規模の見返りが必要とみられ、ファームの消耗は避けられない。

 しかもドジャースは20日(同21日)、ロッキーズから最速166キロのセス・ハルバーセン投手(26)を獲得し、ニック・フラッソ投手(27)とランディン・ビドゥレック外野手(22)を放出したばかり。期限直前に複数の有望株を立て続けに差し出す二重の大型取引は、現実味を欠くとの見方を強める材料となる。

 もっとも、商談の扉が完全に閉じたわけではない。ドジャースにはタイガースが求める投手と外野手の有望株を同時に提示できる層の厚さがあり、スクバルをブレーブス、フィリーズ、ヤンキースなどのライバルに渡さずに済む利点もある。主力先発陣の回復が遅れ、タイガースが再失速すれば、一人で世界一の確率を押し上げる左腕へ最後に猛進する可能性は残る。それでも現状は、世紀の超大型商談が成立しない方向へ大きく傾いている。