G投の再建は待ったなしだ。投手陣が12球団ワーストの成績となった巨人では、今秋から大胆なメスが入れられた。原辰徳監督(64)と同学年で名伯楽として知られる久保康生巡回投手コーチ(64)は「既成概念を取っ払ってくれ」と大改革を断行。これまで投手チーフコーチだった桑田真澄ファーム総監督(54)とはまるで異なる指導法で、選手たちには取捨選択する能力も求められている。

 チーム防御率3・69は両リーグ最悪で、2年連続V逸の大きな要因となった。陣頭指揮を執った桑田コーチはファーム総監督となり、新任の阿波野投手チーフコーチや久保コーチが秋季キャンプで新風を吹き込んだ。

 中でも強烈だったのが久保コーチだ。チームに合流した初日から「既成概念を取り払ってくれ」と大号令。具体的には〝やじろべえ〟の要領で体の軸を傾け、体重移動させるもので「『今までの…』という言い方は悪いけど、軸足に体重を残せと言うからどんどん(体勢が)低くなってしまう。ボールが上ずったり、ワンバウンドしたり、全然いかない。今まで野球で使われてきた言葉の既成概念を疑え」と新たな取り組みを課した。

 かつて教え子だった岩隈やメッセンジャーらも〝覚醒〟するきっかけをつかんだ手法で、赤星らは大幅なモデルチェンジに挑戦した。そんな熱血漢に、原監督も「そこが彼のいいところ」と大歓迎だった。

 まるでこれまでの指導法を一掃するかのような〝劇薬〟となった一方で、桑田コーチのもとで芽吹き、才能を開花させた投手もいる。トミー・ジョン手術明けだった山崎伊や堀田は故障せずにシーズンを終え、何と言っても戸郷はローテの柱に定着し、チーム最多でキャリア最高の12勝を挙げた。ただ、オフの配置転換によって桑田コーチが「3年計画」と掲げた長期プランは事実上1年でとん挫する格好となった。

 チーム関係者は「どちらが良いとか悪いとかではなく、選手も『あれもこれも』とならず、一度試してみて、自分に合うものを選んでいくことが大事」と強調した。何をチョイスし、どれを捨てるのか。選手たちの決断力も不可欠と言えそうだ。