【赤坂英一 赤ペン!!】2016年に引退して以来、黒田博樹氏が来季から7年ぶりにカープに復帰する。新たな役職は球団アドバイザー。伸び悩む若手投手への指導が主な仕事になるという。

 就任を直接要請したのは“盟友”新井新監督。黒田氏によれば「本当に何度もしつこいくらい」電話がかかってきたそうだ。10月13日付小欄で書いた通り、新井が阪神を自由契約になった14年オフ、広島復帰を電話で強く勧めたのが黒田氏だ。今回のアドバイザー就任は、両者の絆の強さを改めて印象づけた。

 新井監督は以前、黒田氏の持つ「言葉の力」についてこう話している。

「黒田さんが言うことはスッと自分の中に入ってくるんですよ。シーズン中の大変な時、『新井、しんどいだろう』と声をかけてくる。『黒田さんもしんどいんじゃないですか』と僕が返すと、黒田さんがうなずいて『しんどい。もう少し頑張ろうや』と笑う。そんな簡単なやりとりがものすごく励みになる人ですね」

 広島復帰1年目の15年、黒田氏はエース大瀬良にツーシームの投げ方を伝授した。その新球を大瀬良が多投するようになると、「ツーシームを生かせる他の球種や配球も覚えるように」と助言している。当時、黒田氏にその真意を尋ねると、メジャーリーグでの経験を例に取って言った。

「メジャーでは中4日、北米大陸の時差も含めると実質的には中3日半で投げなければならない。新球を覚えたり、調整法を変えたりしている余裕はとてもありません。当然、試合で投げ始めたら、使いたい球がいかないときもよくある。投げる球がなくなり、マウンドで立ち往生したことも多い。そんな時にどうすればいいか、メジャーではそういう厳しい経験と勉強をしましたから」

 そう語った黒田氏は、カープでもメジャーでも援護に恵まれない投手として知られた。それでも常に粘り強く投げ続ける姿がファンに支持されたのだ。が、黒田氏本人は「それは本来褒められたことではないと思いますね」とこう言っていた。

「粘り強いと言われるのは、打たれたり、走者を出したりした後で抑えているからでしょう。そういう状況にならないようにするのが本当の意味でのいい投球ですから。僕自身はただ、打たれたら次に何を投げるか、走者を出したらどうするか。常にそういうことを考えてゲームを作る姿勢が大切だと思ってます」

 ぜひ、そういう姿勢を投手の若ゴイたちに植え付けていただきたい。