プロレスリングマスターことノアの武藤敬司(59)が、化身グレート・ムタの〝最期〟を徹底予想だ。来年2月の引退に伴い、魔界の住人も現世から姿を消す。米WWEのスーパースター・中邑真輔(42)との夢対決(来年1月1日、東京・日本武道館)、ライバルのスティングと組むラストマッチ(同22日、横浜アリーナ)は、いったいどうなるのか――。

 ムタと中邑の異次元対決について、武藤は「この試合はやっぱり武藤敬司じゃないんだよ。ムタじゃないと〝帳尻〟が合わないというか。世界観の戦いだよな」と独特の言葉で表現した。1994年5月のアントニオ猪木戦をはじめ、日米で多くの名レスラーたちと世界観をぶつけ合って来たムタの代理人だからこその言葉だ。

 さらに「アメリカでは個性の説得力がないと生き残れないから。生き残った者同士の世界観の戦いだよ」と力説。その上で「だからこそ、昔の真輔なんか見たくねえ。今のアメリカで生き残った真輔でぶつかっていってほしい。でないと、ムタに飲み込まれちまうと思うよ」と警告を放った。

 時代は違えど、中邑もムタと同じように米国マットで一時代を築いている。武藤は「大したもんですよ。今のアメリカで這い上がるって大変だよ。昔みたいに小さなテリトリーの集合体じゃないから、より競争が激しいからさ。だって、イケメン(二郎)なんか名前も聞こえてこねえじゃん」と高く評価する。

 だからこそ、スーパースターの中邑として化身の対角に立つことを求める。「魔界って(動画配信サイト)WWEネットワークに入ってないはずだから。WWEでどんな技を開発しているか分からないはず。そこに突破口があるんじゃねえか? そういう意味でも、今の真輔でいってほしい」

 一方で、ムタのラストマッチで横に立つスティングへの思い入れも深い。1989年にWCWマットに初登場したムタは、スティングとの抗争をきっかけにトップ選手の仲間入りを果たした。武藤は「スティングがムタを引き上げてくれたから。スティングがいなかったら、おそらくここまでになっていなかったと思うよ」と最期をみとるにふさわしいと断言する。

 ただし「スティングとムタには20年以上接点がなかったし、組んだのも数回だけだからな。基本は戦い続けていたわけだ。となると、不安があるとすればムタがスティングを味方だと思えるかどうかだな」と不穏な言葉も口にした。

 残り2試合。いろんな意味で目の離せないものとなりそうだ。