阪神はCSファーストステージ第3戦・DeNA戦(横浜)を3―2で制し、ヤクルトとのファイナルステージ(12日開幕、神宮)進出を決めた。今季限りでの退任を既に表明している矢野監督にとって、敗れれば監督業最後となる一戦だったが、らしさあふれる「スペシャル采配」でチームを勝利に導いた。

「強気や! 思い切り楽しんでこい! お前に賭けているから、どんな結果でもいいから、思い切って行ってくれ」。リードはわずか1点。9回一死満塁の大ピンチ。ベンチからマウンドへ歩を進めた指揮官は、若き守護神・湯浅にゲキを飛ばした。
 
 矢野政権が発足した2018年オフにドラフト6位で指名された〝矢野チルドレン1期生〟の23歳右腕は入団4年目の今季、ついに大ブレーク。恩師の意気に応える強気の投球で次打者・藤田を4―2―3の併殺に打ち取り、クロージングに成功。「インコースに直球を投げ込むと決めていた。やっぱりまだまだ矢野さんと野球がしたいので、しっかり抑えることができて良かったです」と試合後、充実感いっぱいの笑みをこぼした。
 
 腹をくくり切った采配と言葉でナインを鼓舞し、大熱戦を制した。先発・才木が2安打2失点と打ち込まれると、3回一死一、三塁の場面ながら、レギュラーシーズンでは勝ちパターン継投の一角として7回のマウンドを託してきたセットアッパー・浜地を2番手として投入。次打者・牧を二ゴロ併殺に打ち取り火消しに成功した。

 さらに5回からは岩貞。4番手・西純には6回二死から8回二死までの3イニングをまたがせる短期決戦ならではのスペシャル継投で、9回の湯浅まで救援陣は無失点でリレーをつないだ。
 
 失うものは今さら何もない。4年間かけて育ててきたナインたちを最後まで信じるだけだ。次の舞台はチャンピオンチーム・ヤクルトとの6番勝負。「全員で夢と理想を追って、最高のドラマを起こしてみせる」と試合後の指揮官は涙で充血した目で日本シリーズ進出へ意欲を燃やす。

「ミスを恐れない。楽しむ。超積極的にプレーする」。勝負師としての厳しさに欠けると度々批判されてきた矢野イズムが、土壇場の大一番で結実した。