大黒柱に導かれ、ソフトバンクが下克上日本一へ確かな一歩を踏み出した。パ・リーグのCSファーストステージ第1戦(8日、ペイペイ)は、シーズン2位・ソフトバンクが同3位・西武に5―3で競り勝った。
最大のヒーローは頼れる主将・柳田悠岐外野手(34)だった。3回、1点を先制して、なおも二死二、三塁の好機で巡ってきた第2打席。追い込まれてからの3球目、内角スライダーを右中間席へ叩き込む技ありの3ランで、相手に大きなダメージを与えた。
「4点あれば十分だと思った」
盟友であるエース・千賀滉大(29)が8回3失点(自責2)、11奪三振の力投。最後は守護神・モイネロが締めて大事な初戦を制した。
試合後のヒーローインタビュー、柳田の何気ない言葉に勝因が隠されていた。「今日も、もう終わったことなので。明日また頑張ります」。勝っても負けても浮かれない、引きずらない。一貫した姿勢は自然そのものだ。
鷹にとって悲劇的だった千葉でのシーズン最終戦「10・2逆転V逸」。敵地ZOZOマリンを引き揚げるナインは一様に下を向き、重たい足取りでチームバスに乗り込んだ。その中で主将の振る舞いは際立っていた。首回りには湿布を張り詰め、左肩と両ヒザにはアイシング…。そんな姿でチームを代表して取材に対応。心を乱すことなく柔和な表情と落ち着いた口調で「敗者の弁」をメディアの向こうにいる野球ファンに堂々と発した。
9月30日楽天戦の守備で後頭部を強打。以降の欠場もささやかれたが、むち打ち症状をおして出場を志願し続けた。優勝のかかった残り2試合では貴重な本塁打を連発。責任を背負い満身創痍の状態でチームを勝利寸前まで導きながらのV逸は、誰よりも落胆が大きくてもおかしくなかった。
そんな境遇で見せたケロっとした姿に、同僚たちが無関心なはずはなかった。「あの切り替えの早さと、それを主力が対外的に示すことで、周囲に与える影響を若手や中堅選手が感じ取っていた」(チーム関係者)。それは下克上日本一を目指す上で最高の手本だった。
CSを前に訓示を行った王会長が「悔しがってこうなる(肩を落とす)って言うけど、終わったことはしょうがない。もう変えられないんだから。前に前に進むしかないんだ」と語っていた一流の心得を、悲劇直後から体現していた柳田。空気を一掃し、鷹の逆襲が始まる。












