辞めるどころか〝劇場〟第二幕の始まりを宣言するとは…。日本ハムの新庄剛志監督(50)が28日、札幌ドーム最終戦(対ロッテ)後にファンの前であいさつし、来季もチームの指揮を執ることを表明した。自身の登録名だった「ビッグボス」の名を来季から封印。本名に戻して出直しを図ると同時に、来季から本拠地となる新球場「エスコンフィールド」で迎える開幕戦(来年3月30日)の開幕投手にチームのエース左腕・加藤貴之投手(30)を〝史上最速〟で指名した。「チームの最下位の責任を取って監督を辞めるのでは」とささやかれたが、とんでもない。愉快な〝新庄劇場〟はまだまだ終わらない――。

 まさかの「続投宣言」は今季で本拠地を終える札幌ドーム最終戦後のセレモニーから始まった。

 午後10時過ぎ。神妙な面持ちで静かにマウンド付近に歩みよった新庄監督。4万人を超える超満員のファンにまずは今季低迷の報告を行うとともに自身のシーズン中の思いを語り始めた。

「今年は悔しくて悔しくてたまりませんでした。試合に勝てなくて悔しかったわけではありません。目をギラギラさせて試合に臨んだ選手がチャンスで打てなかったり、ピンチで打たれたり。その姿を見てものすごく悔しかったです。開幕してから数か月がたち、周りから『お前のメチャメチャな考え、メチャメチャな采配で選手をおもちゃにするな。ファンは宝物と言っておきながら勝つ気ねえじゃねえか。ファンは勝ちがみたいんだ。頼むから辞めてくれ。何であの選手を使わないんだ。もうちょっと勉強しろ。そういう毎日を過ごしました」

 そのうえで自身の進退について言及。「選手を成長させるために一年間ブレずにやり通しました。しかし、結果はファンを悲しませたダントツ最下位です。この責任は監督、ビッグボスが悪いです。本当に本当に短い1年でしたけど、今シーズンを持ってビッグボスのユニホームを脱ぎます。ありがとうございました」と言い残しユニホームを脱いでマウンドに残し、静かにグラウンドを後にした。

 騒然とする球場内では「辞めないでー!」と絶叫するファンの声が続出。そんな重苦しい雰囲気が1分程続いた直後、再び新庄監督が真新しい「SHINJO」の文字をつづったユニホーム姿で現れると、笑顔でこう言い放ったのだった。

「今日の午後4時に川村(球団)社長から呼ばれ、希望しかないファイターズを来年も指揮を執ってほしいと言われました。その返事はまだしていません。まずは今日、ここに来てくれているファンのみんなにしたいと思います。来年、『新庄剛志』でエスコンフィールドで監督として指揮を執ってもいいですか!」。この絶叫の瞬間、新庄監督の来季続投が決定したのだった。

 指揮官はこの日に先立ち26日、自身のインスタグラムを更新。その中で札幌ドーム最終戦となるこの日に何らかの「ご報告」を行うことを予告していた。だが、フタを開けてみればその報告は〝ビッグボス〟の封印。この茶番劇には集まった大勢のファンも苦笑いを浮かべるしかなかったが、直後には来季から本拠地となる新球場「エスコンフィールド北海道」で迎える開幕戦について言及。「来年の大事な開幕戦は左の加藤投手に任せたいと思います」と〝史上最速〟で来季開幕投手を明言するあたりはやはり〝新庄劇場〟ならではだろう。

 いずれにせよ来季の指揮が確定した日本ハムは、今季残り1試合を残しながらも来季に備えることになる。

 今季は現時点で58勝81敗3分けのぶっちぎりの最下位。パ・リーグ優勝争いでは日本ハムだけが最後まで蚊帳の外に置かれるふがいないシーズンを送った。だが、新庄監督が今季シーズンを通して掲げた「若手の成長」は着実に芽が出始め、シーズン終盤には勝率も上昇した。

「来年は2位も6位も一緒です。日本一だけを目指してブレずに戦っていきます。皆さん、ついてきてください」と最後に抱負を語った。

 就任1年目のリーグ最下位から日本一になったのは昨季のヤクルト・高津の例がある。果たして「ビッグボス」改め新庄監督は低迷するチームを頂点に導くことができるのか。「支配下選手全員を一軍で使う」など自らの「公約」は必ず実現させてきた男だけにやってくれそうな雰囲気はあるが、さあどうなる。