“モデルジャンパー”の胸中とは――。陸上女子走り幅跳びで日本選手権女王の秦澄美鈴(26=シバタ工業)が、単独インタビューに応じた。2024年パリ五輪での活躍が期待される一方、所属先でイメージガールを務めていたことでも注目を集めている。陸上界の新ヒロインが今後の目標やオフの過ごし方、競技外の一面が話題になることへの本音などについて包み隠さず語った。

 ――初挑戦の世界選手権(7月、米オレゴン州)は決勝進出を逃した

 秦 大会を振り返ると、いかに自分が冷静じゃなかったかが分かる試合だったなと。その場では冷静にやっている、集中すべきことも分かっているような気持ちでいたんですけど、改めて思い返すと真っ白になってしまった感じもあって。世界陸上という舞台の大きさが分かりました。

 ――それでも、8月20日に福井で行われた競技会は6メートル49で優勝した

 秦(世界選手権から)1か月たちますし、自分の中で整理する時間はつくってきたつもりだった。ネガティブな感情が顔を出すときもあるんですけど、大きな大会は来年以降も続くので次に向けて練習できているかなと。
 ――どのように気持ちを切り替えた

 秦 一度いろんなことを遮断したくなって、自分で考える時間をつくる。1週間、2週間いかないぐらいですかね。そして答えが出れば「じゃあ、次に」と前に進めるんです。(その期間は)基本的に家が好きなので、部屋にこもって紙にバーッと書き出して、いったん(頭を)整理するんです。ノートというより紙。そのへんにある紙に書いて、終わったら捨てます(笑い)。今回は助走や精神面など不足していることを書きました。

 ――所属先のレインブーツを履いてイメージガールを務めたこともある

 秦 あれは結構前、大学卒業ぐらいのタイミングで撮影したもので、最近はやってないですね。今は練習や試合に集中させてもらっています。

 ――“モデルジャンパー”として注目されることはどのように受け止めているのか

 秦 それをきっかけに見てくれる人もいるので、そこに関してはありがたい。ただ、やっぱりモデルジャンパーだけ切り取られると、中には「体形や容姿がそう(モデルのように)見えるから、そうやって言われてる」と思う人もいらっしゃるみたいで…。

 ――競技者として注目されることは歓迎だが、モデルや容姿の部分が強調されると複雑な思いも

 秦 そうですね。少し複雑な部分もあり、やっぱりそれがきっかけで心ない言葉を掛けられることもあるので。そういうときは「あ、そういう意味じゃないんやけどな」と感じることがしばしばありますね。

 ――オフはどのように過ごしているのか

 秦 家で漫画を読んだり、アマゾンプライムでアニメや映画を見たり。何も考えずにゴロゴロしている時間というのも、自分の中では大事な時間かなと思います。今一番ハマっているのは「呪術廻戦」なんですけど、漫画がめちゃくちゃ人気になってきたところで、はやりに乗っかったみたいな感じになって(笑い)。本屋さんに行っても品薄で手に入らなくて、ハシゴして本を集めている時間もすごい幸せでしたね。

 ――日本記録(6メートル86)や世界との“距離”はどう感じている

 秦 6メートル80台に関してはタイミング次第で出るのかなと。練習でやっていることを発揮してコンディションや条件がそろえばそこまで遠いものとは感じていないですね。ただ7メートルとなると別次元。まだまだやるべきことがたくさんあります。

 ――どのような舞台でも納得のパフォーマンスを出すことが大事

 秦 一番難しいところなんですけど、それができれば(国際大会で)決勝に残るとか、本当の意味で世界で戦うステージには行けるのかなと思ってます。

 ――来年は世界選手権(ブダペスト)、2年後はパリ五輪、その翌年には世界選手権が東京で開催される

 秦 自分の中ではパリが集大成になるかと思っていたんですけど、世界陸上東京もあるので、それはちょっと崩れたかなと(笑い)。まずはブダペストで決勝に残って、パリは入賞ラインに入って表彰台を争うところまで行きたいです。

 ☆はた・すみれ 1996年5月4日生まれ。大阪・八尾市出身。大阪府立山本高で陸上部に入部し、当初は短距離、走り高跳び選手だった。武庫川女子大進学後に走り幅跳びを始め、大学4年でインカレ優勝。シバタ工業入社後、2019年に日本選手権初優勝を果たした。昨年、今年と同大会連覇。今年7月の世界選手権は全体20位で決勝進出を逃した。所属先が手掛けるレインブーツのイメージガールを務めるなどモデルとしての一面も持つ。自己ベストは6メートル65。169センチ。