支配下最後の1枠が新型コロナ禍の影響をモロに受けた。19日からの4日間で77人(支配下38選手)の新型コロナ陽性者を出した巨人は28日に勝俣翔貴内野手(25)の支配下昇格を発表。これで支配下の70人枠が埋まった。岡本和、中田、増田陸ら内野手が大量に陽性となったことによる〝緊急避難〟でもあるが、チーム内からは最後の1枠を逃した選手たちを心配する声が上がっている。

 背番号92となった勝俣は「チームとしては厳しい状況ですが、自分としてはチャンスなので死ぬ気でアピールしたい」と意気込んだ。会見後はイースタン・リーグのDeNA戦(横須賀)に「5番・三塁」で出場。4打数無安打2三振と今季二軍戦初安打での昇格祝いとはいかなかったが、三軍戦では打率2割9分、3本塁打とアピールしていた。

 二軍で17打数無安打の勝俣に白羽の矢が立ったのはチーム事情による。巨人の支配下内野手は17人となったが、そのうち12人が新型コロナの陽性判定を受けた。さらに腰痛で離脱中の坂本はまだ実戦復帰を果たしておらず、若林も右手の手術でリハビリ中と控えもいない状態だ。

 巨人のファーム関係者によれば「毎年、支配下最後の枠はギリギリまで埋めないようにする。そうすることで育成選手のモチベーションを高め、それがチームのレベルアップにつながる」というのが通常時のチーム方針だ。実際、昨年は東京五輪の影響で登録期限が1か月伸びたが、ギリギリの8月30日に投手の鍬原と捕手の喜多を昇格させて70人枠を埋めた。

 巨人の救援防御率は12球団ワーストの4・28。長い目で見れば、投手の昇格が最優先のはずだった。候補として与那原、沼田、堀岡ら支配下経験のある投手たちが二軍でシノギを削っていた。

 与那原はこの日のDeNA戦に5番手として登板。1回を無失点に抑えて二軍成績は15試合で防御率2・08となった。2015年ドラフト3位右腕は悲願の再昇格が目の前まで迫っていただけに「育成選手は支配下枠がなくなると士気が一気に落ちる。周囲のケアが大事になる」と球団関係者は心配する。

 しかも勝俣の昇格でも内野手問題は解決とはいかない。新型コロナ陽性者は隔離期間後に調整期間が必要で、実戦復帰に時間がかかる。NPB井原事務局長が22日からの中日3連戦延期を発表した際に「チーム編成が極めて困難」と理由を挙げていたが、28日の臨時実行委員会では同様の理由から29、30日のDeNA戦(横浜)の延期が決まった。

 巨人は31日の同カードからリーグ戦を再開できても苦しい戦いが予想される。チームとしては勝俣の活躍がカンフル剤となるが、果たして…。