現役の国税庁職員らが関与したコロナ対策の持続化給付金詐欺事件で、主犯格の松江大樹容疑者(31)が13日、出国していたドバイから帰国し、逮捕された。詐欺グループは高校生や大学生を個人事業主に仕立て計約2億円を国から不正受給した疑いが持たれている。「給付金を暗号資産に投資すれば2倍になる」とのうたい文句でマルチ商法を展開していた。その頂点にいた同容疑者の素顔とは――。
事件は今月2日、警視庁が東京国税局鶴見税務署職員の塚本晃平容疑者(24)、会社員の佐藤凛果容疑者(22)、東京国税局の元職員、証券会社元社員、大学生ら計7人を詐欺容疑で逮捕したことから発覚。
この詐欺グループの主犯格とされたのが松江容疑者で、今年2月にUAEのドバイに出国していたが、13日に帰国するとの情報をキャッチした警視庁が同日朝、逮捕状を取り、成田空港でスタンバイ。帰国した直後に逮捕した。調べに「弁護士を通して答える」と話しているという。
松江容疑者の逮捕容疑は他のメンバーと共謀し、2020年8月、埼玉県川越市に住む男性(詐欺容疑で書類送検)が新型コロナの影響で収入が減った個人事業主だと偽り、持続化給付金100万円をだまし取った疑い。
高校生・大学生ら計約200人を個人事業主に仕立て、計約2億円を不正受給したとみられ、名義貸しした学生らには「暗号資産に投資すれば個人事業主になるので給付金を申請できる。給付金は暗号資産に投資して2倍にする。新たに申請者を紹介すればボーナスを渡す」などとして、名義貸しを募っていたという。
「申請者1人につき不正給付された100万円のうち20万円が詐欺グループ内で分配され、計2億円の8割は組織のトップの松江容疑者に集められていたとみられる。配下のメンバーはそのカネを松江容疑者が暗号資産に本当に投資していると信じている者が多いが、その差配は松江容疑者だから、実際はどうなっているか不明。名義貸しした学生らにはうたい文句だった“元金の2倍の配当金”も支払われていない」(捜査関係者)
松江容疑者の素顔に関する情報は被害者などのSNSで拡散している。
「大阪出身で関西の私大を卒業後、東京・恵比寿で肉バルを開業した」「暗号資産の投資会社の幹部」「ロールスロイスを乗り回していた」「ドバイにマンションを持っていた」「妻と子供2人がいて毎月ハワイに行っていた」
実際、ユーチューブには、暗号資産投資会社の勉強会で、成功者としてスピーチしている場面がある。松江容疑者が「皆さんとスタートした時期ってあまり変わらないと思うんですけど、なんでここまで来れたかってのを自分の中で思い返してみると、ほとんど準備だと思うんですよ。準備を人以上にやらないと成果が出ないと常々思っています。この小さな積み重ねが今の僕になってると思います」と語ると大きな拍手が起こった。
捜査関係者は「SNSでの松江容疑者の素性に関する情報は今後、背後にある暗号資産投資会社へのカネの流れなどの捜査で明らかになるだろう。暗号資産投資の指南役として自分より若い20代に慕われていたようだが、国税庁職員や大手証券会社元社員、不動産会社社員など専門性を持ったサラリーマンが給付金詐欺になると分かっていながら、なぜ協力したのかも今後、供述で明らかになるだろう」と話す。
給付金申請に名義貸しし、暗号資産での配当金を当てにしていた学生など200人は1銭も手にしていなくても、国への1人100万円の返済義務が生じる。
法曹関係者は「主犯格の松江容疑者が逮捕されたことで、今後は名義人による集団訴訟など、松江容疑者に対する返還請求が始まるだろう」とみている。












