米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけとするナフサ不足がいまだ騒動となっている。ホルムズ海峡が事実上の封鎖で原油の調達が不確実になり、その余波でポテトチップスの袋が灰色になったことは大きな話題となった。4月にテレビ番組で「このままでは6月には詰む」と話したコネクトエネルギー合同会社の境野春彦氏は、今後をどう評価しているのか。

 ホルムズ海峡を日本船舶が通過できるよう、日本政府にイラン政府との交渉をするよう求める有志による団体の記者会見が8日、国会内で行われた。千葉大教授の小林正弥氏が呼びかけ人代表を務め、鳩山由紀夫元首相らが名を連ねた。そこに民間から参加していたのが境野氏だ。

 境野氏はナフサを含めた日本の原油事情を解説。中東産から米国産への代替調達が進んでいるとしながらも、輸送日数が増えることから、価格の上昇があり得ると指摘した。

 境野氏の名前が世の中に広まったのは、4月の「報道特集」(TBS系)だった。ナフサの特集で境野氏は「間違いなく今の状況が続いたら6月には詰むんですよ、日本」と危機感を示した。これに反応したのが高市早苗首相で、放送翌日にX(旧ツイッター)で「当該報道にある『日本は6月には供給が確保できなくなる』という指摘は事実誤認」と強く反発したのだ。

 この件以来、境野氏には誹謗中傷が届くようになったという。「私は気にしていないのですが、『逃げた』『ウソ』『デマ』とか。面白おかしく騒いでいる人がいるなという感じで見ています。事務所にメールが殺到したりっていうのもありますね。笑いながら消したり、開示請求すると伝えたり」(境野氏)

 誹謗中傷で自分の意見を変えることはないという。では、報道特集から2か月がたった今は、日本の原油やナフサをめぐる状況をどのように評価しているのか。

「思ったよりひどくなっている。『詰む』っていうのは需要と供給のバランスが大きく崩れて、一部の産業に甚大な影響が出るっていうことで、それはずっと言い続けてきた。番組でも言っていた。思った以上に被害が出ている。こんなに足りなくなったり、全国各地で原料が足りなくて、ポテトチップスが白くなったり。あんなふうになるとは思ってなかったですよね」(同)

 カルビーはポテトチップスやかっぱえびせんの包装を「中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化」を理由に白黒にすると発表。農水省がカルビーにヒアリングを行うなど政府は過敏に反応した。一方、TOTOはナフサ不足からユニットバスなどの新規受注を見合わせていたが、9日から再開すると発表。悪い話ばかりではないようだ。

 とはいえ、今後が問題だ。高市首相は2日にナフサについて「年度を越えて供給継続が可能」との見方を示していた。境野氏は「ちょっと厳しい。今の綱渡りがしばらく続くとすると、中小企業からどんどん潰れていかざるを得ない」と危機感を持っている。

 だからこそ日本政府はイラン政府と交渉して、日本船舶がホルムズ海峡を通過できるようにするべきというわけだ。