エプスタイン事件で、故ジェフリー・エプスタイン元被告のために世界各国で若い女性を勧誘していた〝リクルーター〟とされ、人身売買への関与について捜査されていたフランス人モデルスカウトが、パリ郊外の自宅で遺体となって発見された。フランス検察が22日に発表し、フランスや米国など世界の主要メディアが大きく報じた。

 死亡したのはダニエル・シアド氏(69)。シアド氏の弁護士は米ABCニュースに対し、「心臓発作で死亡した可能性が高いと考えているが、正式な死因については司法当局の報告を待っている」と説明した。フランス検察はシアド氏について、エプスタイン氏に関連する人身売買容疑のほか、別の性的犯罪の疑いについても捜査を進めていた。

 シアド氏の名前は、米司法省が「エプスタイン・ファイル透明化法」に基づいて公開した「エプスタイン・ファイル」に2000回以上登場しており、同ファイルの中でも特に存在感の大きい人物の一人だ。シアド氏とエプスタイン氏がメールなどで交わしたやり取りには、北欧や東欧などで見つけた若い女性について、「エプスタインが興味を持ちそうだ」と紹介する内容が数多く含まれている。「15~17歳」の少女に言及したメールも確認されている。

 米司法省が1月30日にエプスタイン・ファイルを公開した後、フランス当局は、エプスタイン氏を支援した人物によってフランス国内で行われた可能性のある犯罪について、新たな捜査を開始すると発表した。さらに2月以降、24人の女性がシアド氏や他の関係者による被害を申し出て、このうち5人がシアド氏本人をレイプや人身売買で告発した。フランス検察が人身売買容疑の捜査を進める中、シアド氏は正式な事情聴取を受ける前に死亡した。

 2020年には、フランス当局がモデルエージェントのジャン=リュック・ブリュネル被告を逮捕している。ブリュネル被告もエプスタイン氏のために女性を調達した疑いが持たれていたが、2022年に勾留先の刑務所内で死亡した。エプスタイン事件の重要人物が裁判などによる本格的な真相解明を前に死亡したのは、ブリュネル被告に続くケースとなった。

 エプスタイン氏は1990年代半ばから10年以上にわたり、米領ヴァージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島(通称エプスタイン島)などで少女らへの性的虐待を繰り返したとされる。政財界や芸能界など多くの著名人との交流も明らかになり、事件は世界的な波紋を広げた。そのエプスタイン氏も性的虐待罪などで起訴されたが、2019年、公判を待つ間に勾留先で死亡した。

 米国事情通は「エプスタイン氏の死については、現在も一部で児童買春に関与したとされる〝大物〟による〝口封じ〟だったとの見方が根強く残っています。ブリュネル氏に続き、今回はシアド氏も死亡。事件に深く関わった重要人物3人が相次いで亡くなったことで、事件をめぐる疑念はさらに深まっています」と指摘している。