原動力はサッカーの名門クラブだ。全日本プロレス暮れの祭典「世界最強タッグ決定リーグ戦」は、暴走大巨人こと諏訪魔(43)、石川修司(44)組の優勝で幕を閉じた。2年ぶり2度目の栄冠を手にした名コンビを支えたのは15年ぶり4度目のリーグ優勝を果たしたJ1横浜Mだ。長男の諏訪間幸成(16)がユースに所属する暴走男が心に秘める“マリノス愛”とは――。

 9日の後楽園大会で諏訪魔、石川組はTAJIRI(49)、KAI(36)組を下して公式戦全日程を終了。勝ち点12で並んだジェイク・リー(30)、野村直矢(26)組と優勝決定戦を行い、石川が野村をジャイアントスラムで沈めて3カウントを奪った。

 暮れの祭典を制した諏訪魔は「この優勝はマリノスのおかげだ。苦しい時にマリノスが頑張っているのを見て、勇気をもらって戦い抜くことができたんだから。一緒のタイミングで優勝できて最高だ!」と喜びを爆発させた。横浜Mのサポーターを公言し、今年も試合の合間を縫ってスタジアムに足を運んだ。

 そこまで熱心になったきっかけは、横浜Mのユースに所属し、U―16日本代表にも名を連ねる幸成の存在だ。「中学1年からマリノスのジュニアユースでお世話になって、それから俺もマリノスの試合も見るようになったんだよ。育ててもらって、親として本当に感謝してますよ」

 幸成は2018年3月に初めてU―15日本代表入り。以降はアンダーカテゴリー代表の常連となり、13日からのチュニジア遠征メンバーにも選ばれた。父譲りの恵まれた体格を武器にセンターバックとして活躍し、将来を嘱望されている。

 また今季限りでの引退を表明した元日本代表DF栗原勇蔵(36)への思いもある。テレビ番組の収録で17年に栗原が道場を訪れたことから親交が生まれた。「まずは『お疲れさまでした』と言いたいよね。本当に今までたくさん、パワーをもらったから。『落ち着いたら会場にぜひ見に来てください』って伝えておいてくれ。この時代にマリノスひと筋っていうのがすごい。俺も全日本ひと筋で、まだまだ頑張るぞ、オイ!」と闘志をみなぎらせた。

 暴走大巨人の次なる目標はゼウス(37)、崔領二(39)組からの世界タッグ王座奪還で、来年1月2日後楽園大会での挑戦が決定的だ。「2020年、この全日本プロレスを俺たちがもっと面白くしていきます!」と叫んだ石川とともに、王道マットで暴れまわる。