【赤坂英一 赤ペン!!】オリックスの宮崎・清武キャンプで入来祐作投手コーチに会ったら、ノックがうまくなっていた。5日目から合流した昨年の新人王・宮城大弥ら、B班の若手に絶妙なゴロを転がして、捕り方やベースカバーについて助言している。

「宮城の動きはまったく問題ありませんね。私もオリックスに来て2年目で、ファームの選手の特長が分かってきたので、しっかりとアプローチができそうです。去年一軍で活躍した若手も、最近までファームにいた。彼らと、二軍にいる投手の差は紙一重。その紙一重をいかにして克服させるかが、私の仕事です」

 入来コーチは1996年のドラフト1位で巨人入りして、日本ハム、米マイナーリーグを転戦。引退後はDeNAで用具係も務めた苦労人だ。2015年にソフトバンクの三軍投手コーチに就任し、退団してから1年後の昨年、オリックスに呼ばれた。ファーム一筋の指導者歴は7年目になる。

 昨季のオリックスは、エース山本由伸、新人王・宮城を中心に盤石の投手力を誇った。この強さの秘密は何か、入来コーチは「選手の個性を尊重し、個々の裁量に任せていること」と指摘する。

「選手たちに窮屈な思いをさせないことで若い力が伸びている。キャンプでの練習メニューも充実してはいるんですけど、時間は短いですからね。例えば、私がいた巨人やソフトバンクは組織力で勝つチーム。そういう厳しさを伝統としている球団はそれでいい。オリックスでは、個々の力をしっかりと伸ばしていく野球を掲げている。それがチームカラーです」

 昨年は宮城が長髪から坊主頭にしたことが話題になった。規律の厳しい球団ではあり得ないことだが、「髪形で野球するわけじゃないですから」と入来コーチは笑った。

 そうした大方針の下、山本、宮城に次ぐ若手も着々と育ちつつある。

「楽しみな若手は何人かいます。先発は本田仁海、山崎颯一郎、山下舜平大、(育成の)東晃平、川瀬堅斗、佐藤一磨、それにリリーフで宇田川優希。まだまだ出てきますよ」

 最後に、入来コーチが尊敬しているPL学園の先輩、巨人の桑田コーチについて聞いてみた。

「今も桑田さんのことが気になるか、と聞かれたら、むちゃくちゃ気になりますね。私が野球選手でなかったころ、野球教室に呼んでいただいて、人生はシンプルに、謙虚に生きなさいと言われて、今日につながった。桑田さんの行動は今でも、遠目に見ながら参考にさせてもらっている感じです」 

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。