【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】
【クラーディア・ジェストロさん②】
「青い!」
15年前、初めて大リーグの球場に足を踏み入れた瞬間に発した言葉だった。もっと面白いことが言えれば良かったのだが、目の前に広がるフィールドの緑と真っ青な空を前に、それしか出てこなかった。
今でもシーズン取材初日は同じ感想を抱くのだが、初年度の日々の緊張を考えると、すっかり心地よくなった球場通いは成長したものだな、と思う。しかし、野球場に慣れる中で変わらないのが、初めて選手に話しかける時の緊張感だ。
「どうやって選手に近づいていいかわからなかった。怖かった。彼らもそれに気がついてあまり話してくれなかった」
そう言ったのは、今やフリージャーナリストとして活躍するクラーディア・ジェストロさん。10年前、レストランで働きながらラジオ番組に無給で出演し、自らスポーツコーナーを立ち上げ、バスケや野球取材の道を切り開いた。番組終了後は現場で培ったコネクションでベネズエラやメキシコの放送局などにもコンテンツを届けているが、パワフルな彼女でも同じような思いを抱えていた。
「大学で質問内容の勉強はたくさんしたけど、選手への話し方なんて誰も教えてくれないわよね」
私たちはよく、どの選手が話しやすいか、アプローチのタイミングなど情報交換をする。物おじしないように見える彼女でも実はシャイで、最初の一歩は今でも勇気がいるという。
「初めてドジャースのスプリングトレーニングに行った時。フアン・ウリベに話を聞きたくてアタックしたら『一度もあいさつしてくれたことないじゃない』と言って、隣にいた選手に『インタビューに答えるべきかな?』って。どうやらジョークのつもりだったみたいなんだけど、私はすごく恥ずかしくて、思わずその場を離れて陰で泣いてしまった。ドリュー・ブテラが通りかかって『大丈夫?』って心配してくれたのを、アレルギーがあるの、なんて嘘ついて。そうやって学ぶのよね」
実は、この話には裏話がある。
「何とかコメントを取らなければならなかったから、PRの人に相談に行ったら『また(何かとお騒がせの)ヤシエル・プイグか!?』って。でもね、そのプイグが実はウリベにインタビューするよう説得してくれたの。いつもとても親切にしてくれた」
プイグ…いろいろあるが、来季はメジャーに戻ってこられるだろうか。
それぞれのキャラクターはさておき、実際に選手らに助けられることは多い。
「自分のことを知ってもらえば変わる。数年かかったけど、自己紹介し時間をかければインタビューにこぎつける」
何時間もダッグアウトでカメラを構え、立ち続けるクラーディアの努力に選手だって気が付かないはずがないのだ。年に一度きりのあいさつでも人間関係が築けることを野球の現場は教えてくれる。
だからこそ、選手と交流が図りにくくなったパンデミックはもういい。揚げ句にこの大リーグ・ロックダウン。サンタクロースがいるのなら、思い切り取材ができる2022年をお願いしたい!












