日本シリーズは舞台を福岡から甲子園に移し、28日に第3戦が行われる。初戦で阪神に敗れたソフトバンクは第2戦に大勝して1勝1敗。一方の阪神は痛恨の敗戦から巻き返しを図る。ホークスOBで本紙評論家の加藤伸一氏はここまでの戦いをどう見るのか。そして、今後のカギを握るのは誰なのか…。両軍の〝主砲〟に注目しながら今後の展開を占った。

【インハイアウトロー・加藤伸一】ソフトバンクはCSの頃から投手力が安定している。初戦に先発した有原も内容は悪くなかったし、藤井―松本裕―杉山の勝ちパターンでしっかり試合をつくれた。僅差で敗れたが、戦い方自体は問題なかった。

 打線に関しては、CSの時からなかなか得点を奪えず、苦しんだ。そんな中で第2戦は久々に爆発。あの試合の勝ちは本当に大きい。単なる1勝ではなく、チームの流れを完全に変えるものだったと思う。阪神からすれば、あの負け方は「たかが1敗」では済まされない内容だった。

 その流れを引き寄せたのが山川だ。ようやく結果が出て、打線全体が息を吹き返した。体調はベストではなく、DH制のない甲子園では守備に不安があるものの、一塁でのスタメン起用を検討すべきだ。打撃の勢いを優先し、多少のリスクを背負ってでもバットを振らせたい。中村の欠場も決まっただけに、山川の一発はホークスにとってこれ以上ないプラス材料になる。

 一方で、阪神の主砲・佐藤輝をいかに止めるか。彼に一発を打たれたら流れを一気に持っていかれる。左投手はインサイドを強気に攻め、死球覚悟で勝負するぐらいでちょうどいい。外に逃げると甘くなる。4打席の中で1四球、単打1本ぐらいで抑えられれば十分。むしろ、無理に勝負して長打を浴びる方が怖い。大山の調子が上がっていないので、佐藤輝に対しては慎重にいくべきだ。

 甲子園では天然芝や浜風、そして阪神ファンの大声援という慣れない環境が待っている。それでも、今の流れはソフトバンクにある。選手会長・周東の1試合5安打の日本新記録もチームを押し上げた。短期決戦では勢いが勝敗を左右する。山川がさらに一発を放ち波に乗るのか、佐藤輝がホームで爆発して主導権を奪うのか。このシリーズの流れを握るのは間違いなくこの2人だ。どちらの大砲が先に火を噴くか――それが日本一への分岐点になる。(本紙評論家)