耐え忍ぶのではなく、楽しむ――。ソフトバンク・甲斐拓也捕手(31)は来季、自身のテーマに〝エンジョイ・ベースボール″を掲げて戦う。「周りからいろんな声が聞こえてくることは分かっている。苦しくなりすぎず、硬くなりすぎず、シンプルに野球を楽しみたい。学びながら楽しむ。これが来年のテーマです」ときっぱり。
〝40歳一流捕手″という目標を持ち、それを実現するための発想の転換だ。ここまで忍耐強く野球人生を切り開いてきた。厳しい格差を突きつけられた育成時代を耐え抜き、正捕手になった後も毎試合1球の重みを痛感。「いろいろ言われて苦しくなって硬くなる…」と捕手の宿命として非難を浴び続けてきた。
余裕が消え、視野が狭くなることで成長を阻害する悪循環。一転、「この先も野球のことを考えて、うまくなりたい。もう楽しまないと、もったいないと思って」。育成入団という〝最底辺″からのスタートゆえに、これまで野球を楽しむ考えから一番遠くにいた男の一大改革といえる。
野村克也、谷繁元信といった往年のレジェンド捕手をかねて尊敬。著書を読みあさり、直接話を聞くなどして名捕手の領域に少しでも近づこうとしてきた。ともに40歳を優に超えて球界のトップに君臨。「僕はそういう方々(の努力や経験)と比べて、まだまだ。だから自分を『まだ31歳』だと思っている。限界だなんて、これっぽっちも思ってない」と来季プロ14年目も道半ばを強調する。
3年連続V逸の責任を一身に背負う。絶対的な立場と目されていない自身へのふがいなさも感じており「(来年)32歳付近の頑張りが、35歳から先の野球人生を決める」。これまでと違う鼻息の荒さが覚悟の表れだ。












