国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、ウクライナ侵攻に対する制裁としてロシアとベラルーシの選手の出場を禁止したテニスの4大大会「ウィンブルドン選手権」の主催者と英国政府を猛批判した。

 バッハ会長はローザンヌで開催された夏季オリンピック国際競技連盟(ASOIF)の総会で演説。その様子を英メディア「インサイドザゲームズ」が伝えた。

「全仏オープンでは、ロシア人選手は中立的な立場でプレーすることができた。だが、英国当局がそのことに反対しているので彼らはウィンブルドンでプレーすることができなくなってしまう。政府がそのような決定を下すことを許し続けてしまえば、われわれの負けと言えるだろう」と熱弁。ロシア人選手の出場を禁止した英国政府とウィンブルドンを痛烈に批判した。

 IOCはロシアやベラルーシの国際大会への出場禁止を勧告しているが、あくまで国単位であって「厳しい措置は政府のみに向けられている」と強調。個人競技では中立的な立場として国際大会への出場を容認すべきとの方針を明確に打ち出した。

「これ(ウィンブルドンでの出場禁止)はわれわれが支持しているすべての原則に反する。これを政府に委ねれば、われわれは政治の道具になり、公正な競争を保証することができない。平和な競争で全世界を団結させることができる時代に戻って、平和が広がることを願うだけだ」とロシアやベラルーシの選手に対する〝差別〟をやめるよう主張した。

 ロシアやベラルーシの選手たちを擁護するバッハ会長の発言は波紋を呼びそうだ。