まさかの復活当選!? 陸上の東京五輪代表選考会を兼ねた日本選手権最終日(27日、大阪・長居)、男子200メートル決勝は小池祐貴(26=住友電工)が20秒46(追い風1・0メートル)で初優勝。すでに参加標準記録(20秒24)を突破しており、五輪代表に決定した。一方で、小池が最有力だった100メートル代表の3人目は〝白紙〟となり、落選したはずの桐生祥秀(25=日本生命)が選ばれる可能性が急浮上。いったい、どういうことなのか。


 小池は200メートルで五輪切符をつかんだレース後「(代表)内定を取るというよりは、1回も日本選手権を取ったことがなかったので本当に勝ちたいという気持ちだけで走りました。いいもんですね、勝つというのは」と喜びをかみ締めた。25日の100メートル決勝では4位。同種目の参加標準記録(10秒05)をクリアした選手では多田修平(25=住友電工)、山県亮太(29=セイコー)に次ぐ3番手で、代表入りが有力視されていた。

 しかし、小池が200メートル代表に決まったことで、100メートル代表の3番手は不透明な状況に。というのも、400メートルリレーで金メダルを狙う陸連の「戦略」がハードルになっているのだ。陸連はリレー種目の負担軽減を目的に100メートルか200メートルの「原則1種目」しか認めない方針。日本選手権で両種目優勝の場合など条件を満たした場合は例外としていたが、小池はこれに当てはまらない。

 大会終了後、会見を行った麻場一徳強化委員長(60)は「リレーの選考方針については以前に公表した通り。それを基にこれから男子短距離ブロック、小池選手、所属関係者と相談をして最終的な結論が生まれるということ」と説明。しかし「1種目に絞るのか」との問いには「絞るという方針はあるが、結果として絞らなければいけないという要項ではない。(リレーを走らない)選択肢も可能性としてある」と歯切れの悪い回答となった。小池自身も「陸連の意向もある。内定をどちらももらえたら、その時点で考える」と話すにとどめた。

 一方、陸連の方針に沿って小池が200メートルのみの出場となった場合、3人目の100メートル代表は今大会で5位に終わった桐生の優先順位が最も高くなる。麻場委員長は「仮定の話をここで言うのはまずい。すべてを含めて短距離のコーチと本人と打ち合わせをして、選手が得た権利なので納得いく形で進むようにしていく」と明言を避けたが、ここへきて桐生が〝復活当選〟する可能性が出てきた。

 実際、今大会での大きな敗因となった右アキレス腱の状態については「本番には間に合うものと考えている」(陸連関係者)との証言もある。リレー代表は100メートル代表3人にリレー枠の2人を加えた計5人で構成される。また、200メートルなどの個人種目の代表選手は、100メートルのリレーの登録メンバーに含まれなくても出場が可能だ。

 陸連は7月2日に100メートルの3人目など残りの五輪代表とリレーメンバーを発表する方針。最終的にどんなジャッジが下されるのか。


 ◆サニブラウンは200メートルで代表へ 男子200メートルは小池に加え、サニブラウン・ハキーム(22=タンブルウィードTC)の代表入りが決定的となった。100メートルで6位に終わったサニブラウンは左太ももの違和感のため200メートルを棄権。しかし、同種目の参加標準記録を突破しており、麻場委員長は「(小池とサニブラウンの)2人の優先順位が高い」と明言した。また、太ももの状態については「診断までは確認していないが、ここは無理して痛めて余計に悪くすることを避け、選考要項に従い選ばれるという判断をしたのでは」と語った。