日本陸上界の女神が大舞台で悲願のメダルへ――。19日に開幕する愛知・名古屋アジア大会を前に、陸上女子5000メートルでパリ五輪代表の山本有真(26=積水化学)が単独インタビューに応じた。6月の日本選手権では、同種目で自身初の14分台(14分59秒89)で初優勝を飾った。実力に加えインスタグラムも17万人超のフォロワーを誇るヒロインが、地元・愛知開催となる大会への意気込みや飛躍の理由、SNSでの発信に込めた思いなどを熱く語った。

6月の日本選手権女子5000メートルで初優勝を果たした山本有真(積水化学提供)
6月の日本選手権女子5000メートルで初優勝を果たした山本有真(積水化学提供)

 ――6月の日本選手権では念願の14分台に突入した

 山本 狙っていかなかったのが、一番大きいと思う。だんだんわかってきたのは「タイムを出さないと、この順位を取らないと」と思うほど、空回りすることが多かった。逆に何も決めず、ワクワクした気持ちでプレッシャーもなく走るレースが、大体自己ベストだった。今回もそのパターンと全く同じだった。

 ――大学卒業後から五輪や世界選手権に出場してきた。飛躍の要因は

 山本 これといって自信を持って言えないが、頑張りすぎている人が多いと思う。走れば走るほど良い、休まない方が良いなどととらえる選手は結構多い。私は全くそうではなく、体も心も休息を大切にしている。高強度の練習や、試合で100%を出すためには、1回落とさないと走れないという考え方があるからこそ、上手に休みは取り入れられていると思う。

 ――オフの過ごし方は

 山本 私のインスタグラムに上がってるみたいにお出掛けや、温泉やサウナが好きなので、そういう場所に行く。最近は自然が好きで、自然の中でキャンプやグランピングなどをしている。

 ――インスタグラムのフォロワー数は陸上界でもトップの約17万人を誇る

 山本 陸上が人気になった実感もある。元々フォロワーは陸上ファンの方が多かったが、最近は中高生が増え、女の子がすごく増えた。それは競技だけではなく、おしゃれをしているところも、アスリートとして女の子に共感を得られている部分もあると思う。

バリ島旅行の写真を投稿した山本有真(公式インスタグラムから)
バリ島旅行の写真を投稿した山本有真(公式インスタグラムから)

 ――インスタグラムを通して伝えたいことは

 山本 陸上ではおしゃれができないだとか、髪の毛は短い方が良いみたいな文化があったが、おしゃれをしながら走りたい女の子はいっぱいいると思う。私もその一人なので、それで結果を残して競技者として発信し、参考になったらいいなと思っている。

 ――実力者が発信することで意義も増す

 山本 学生時代は髪染めやピアスなどは禁止で「何の意味があるのだろうか。走るのに影響もないのに」と思った。それで競技を辞めたり、苦しく感じる女の子がいるなら「じゃあ私がおしゃれをして日本代表になっていれば、指導者も何も言えないでしょ」というスタンスで発信しているのもある。そう言えるように結果を一番大事にしているし、(周りからも)結果を残し続けろと言われる。

 ――最後に今大会の目標は

 山本 メダル獲得が目標。それより大前提として、14分台をもう一回出したい。それが出れば、きっとメダルもついてくると思う。日本代表として、もう一回地元の声援に力を借りて結果を残し、一緒に喜び合いたい。

アジア大会へ北海道・千歳で調整中の山本有真(右=積水化学提供)
アジア大会へ北海道・千歳で調整中の山本有真(右=積水化学提供)

 ☆やまもと・ゆま 2000年5月1日生まれ。愛知県出身。名城大進学後、主力として4年間で全日本大学女子駅伝と富士山女子駅伝で2冠を達成した。個人でも、4年時に日本インカレ(日本学生対校選手権)5000メートルで初優勝を果たす。積水化学入社後の23年アジア大会は4位入賞。24年パリ五輪では予選敗退ながら、スタートから果敢に大逃げを見せて脚光を浴びた。昨秋の世界選手権で2大会連続出場。身長161センチ。