マラソン界待望の新ヒロインへ――。陸上女子1万メートルで日本歴代3位の記録を持つ不破聖衣来(23=三井住友海上)が単独インタビューに応じ、初マラソンでの手応えや秘話を明かした。北海道マラソン(8月30日、札幌市大通公園発着)では2時間26分4秒で2位に入り、2028年ロサンゼルス五輪の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(27年10月、愛知)の切符を獲得。最初の関門を突破した期待のランナーは、さらなる高みを見据えている。

取材に応じた不破聖衣来
取材に応じた不破聖衣来

 拓大1年時には立て続けに好走を見せて大きな注目を集めるも、その後はケガで満足な走りができなかった。苦しい日々を乗り越え、実業団2年目の今季にマラソンデビューを果たした。

 不破 ずっと「マラソンをやりたい」という思いはあったけど、ケガが続いていた時期は「自分の体はマラソン練習をできる体なのか」と不安を抱くこともありました。でも、こうして初マラソンを無事にケガなく終えられたのは、すごい自信になりました。

 ゴール後は内臓の疲労を強く感じたが、現在は回復傾向。充実の初マラソン後には家族団らんの時間を過ごした。

 不破 思ったより体のダメージは感じていないし、内臓の疲労も強くないのでよかったです。ただ、アドレナリンが残っていると思うので、油断せずにケアをしたいです。北海道では応援に来てくれた家族と夜ご飯に行きました。姉(亜莉珠=センコー)がジンギスカンのお店を予約してくれたので、ジンギスカンを食べました。

 北海道マラソンでは亜莉珠から誕生日プレゼントでもらったピアスを着用。ともに陸上を続ける姉の存在は、不破にとって力となっている。

拓大時代、ピアスを着用している不破聖衣来
拓大時代、ピアスを着用している不破聖衣来

 不破 大学の時から勝負ピアスを付けていたけど、古くなってきて金属の部分が少し曲がり始めていました…。マラソンに挑戦することを決めて、買い替え時かなと思っていた時に、姉がピアスをくれることになったので、勝負ピアスを姉がくれたものに変えました。姉は私が悩んだ時に相談に乗ってくれるし、家族だからこそ正直な感想やアドバイスをもらえるので、すごく信頼しています。ゴール後には「おめでとう」と言ってくれました。

 手応えをつかんだ一方で、30キロ以降の走りが課題として露呈した。今後は11月の全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)に向けた練習を通じ、スピード強化を図る構えだ。

 不破 スピードの〝余裕〟を上げることでペースの余裕度も上がってくると思うので、体力というよりはスピードに対する余裕度を上げていきたいです。(マラソンは)体調や調子を見て、もう1本走ってからMGCを迎えてもいいと思うけど、MGCに出られなければ全く意味がないので、しっかり逆算しながら考えていきたいです。タイムはいきなりは無理だけど、ゆくゆくは2時間20分を切れるくらいの実力をつけたいし、できる限りMGCまでに近づけたいです。

 目標のロサンゼルス五輪へ、大きな一歩を踏み出した不破。止まっていた時計の針がついに動き出した。

2028年のロサンゼルス五輪へ、大きな一歩を踏み出した
2028年のロサンゼルス五輪へ、大きな一歩を踏み出した

 ☆ふわ・せいら 2003年3月25日生まれ。群馬県出身。姉・亜莉珠(センコー)の影響もあり、小学2年時から祖父と毎朝走るようになった。中学校から本格的に陸上を始めると、全国の舞台で活躍。拓大1年時には1万メートルで日本歴代3位の30分45秒21をマークした。拓大卒業後、25年4月に三井住友海上へ入社。154センチ。