【取材の裏側 現場ノート】新日本プロレスと全日本プロレスの老舗2団体が旗揚げ50周年イヤーを迎えている。

 1月の東京ドーム2連戦、ノアとの対抗戦で幸先いいスタートを切った新日本とは対照的に、全日本はジェイク・リーの負傷離脱により昨年末に3冠ヘビー級王座が返上され、新年1発目に予定された3冠戦(ジェイク対アブドーラ小林)が中止に。その後に新王者決定戦が行われる波乱のスタートとなった。

 9月18日には50周年興行となる東京・日本武道館大会を控えており、仕切り直しでメモリアルイヤーをどう盛り上げていくのか気になるところ。中でも個人的に気をもんでいるのが、同大会でデビュー予定の「エボリューションガールズ(エボ女子)」だ。

 簡単に経緯を説明すると、2020年秋に諏訪魔と石川修司が立ち上げた王道マット初の女子プロレスラー育成プロジェクトで、「アイスリボン」の藤本つかさをアドバイザーに迎えた。

 立ち上げ当初は諏訪魔と石川が埼玉・蕨のアイスリボン道場を視察に訪れるなど精力的に動き、柔道をバックボーンに持つ練習生も確保。だが昨年3月の会見で正式にプロジェクト始動を発表してからというのも、1年近く何もアナウンスがない。

 先日、たまたま「スターダム」のジュリアから「そういえばエボリューションガールズってどうなったの?」と聞かれ、記者は返答に困ってしまった。ジュリアの口から「エボ女子」の名が出たのも驚きだが、すっかり忘れていた自分が恥ずかしかった。しかも昨年8月の同コラムで近況を説明したきりだった。

 すぐに諏訪魔と石川に確認した。結論から言うと、練習生が昨秋に辞めてしまったという。ただし〝なかったこと〟にはせず、今年に入り新規募集を開始。今月5日の大阪大会には関西在住の練習生候補が会場を訪れ、関東在住の候補も物色中だとか。

 もはや業界でエボ女子を追っている記者は自分だけになってしまったが、ここは責任を持ってデビューまで追いかけたいと思う。ただし、あと7か月。本当に間に合うのだろうか…。

 記者の不安を察したかのように、諏訪魔は「大丈夫、大丈夫。ちゃんと動いているから」と自信を示す。「まあ、困ったら藤本がエボ女として武道館に出ればいいんだよ」と言ったのが気になるが、ジョークであることを願いたい。

(プロレス担当・小坂健一郎)