DDT、ノア、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスの4団体合同興行「サイバーファイトフェスティバル」(6日、さいたまスーパーアリーナ)の「時間差バトルロイヤル」で、谷津嘉章(64)がリング復帰を果たした。

 谷津は糖尿病の悪化で2019年6月に右膝下7センチを残して切断。川村義肢株式会社が製作した「プロレス用義足」を装着し、復活のリングに立った。

 時間差バトルロイヤルで最初に登場した谷津は、胸に五輪のマークに3つ輪を増やしたオリジナルの「八輪(やつりん)」を刻んだタンクトップ姿。開始早々から大石真翔(42)をフロントスープレックスで投げ捨てる。さらには高鹿佑也(23)にブルドッキングヘッドロックを決めるなど、軽快な動きを見せる。

 さらに谷津は平田一喜(33)にもスープレックスを敢行し、得意技の監獄固めを狙う。ところがそのスキに、悲しいまでに空気が読めない中年・井上雅央(50)に背後から丸め込まれて無念の脱落となった。

 義足を着けての初の実戦は大きなトラブルもなく「とりあえずは想定内」と振り返った。だが一方で「まだちょっと、ちゅうちょして、どこかで手加減してしまったというか。手探りの状態。もう一回やらせてもらわないと。そのへんはまたDDTの高木(三四郎)社長に直訴してやらせてもらえれば」と、今後の課題を口にした。

 右脚を切断した2年前は再びリングに上がれることなど想像もできなかった。しかし周囲の協力もあり義足レスラーとして奇跡の〝再デビュー〟。「プロレスの義足を開発していただいて、これは世の中でも初めてだと思うので。次にまたつなげる可能性を自分の中で見いだしたかなと」と万感の表情を浮かべた。

 もちろん、この日は新たなレスラー人生の第一歩にすぎない。谷津は「レスラーに受け入れられたこと、不具合なくできたこと(が収穫)。義足をはいて、一つの演出もできるのではないかなと。義足を最大限に使うことが義足レスラーの使命だと思っています。ありのままの姿を見ていただいて、受け入れられたらいいなと思います」と目を輝かせ汗をぬぐっていた。