【2021プロ野球残念案件】ロッテにとって今季は屈辱の1年だったに違いない。シーズン終盤に優勝へのマジックナンバーを点灯させながらも、41年ぶりとなる勝率1位でのリーグ制覇を逃したからだ。

 まさかの開幕5連敗でシーズンに突入も井口監督は慌てなかった。昨季チームをリーグ2位に浮上させる原動力となったマーティン、レアードの両外国人選手とベテラン荻野、主将・中村らを中心に得点力のある打線を形成。投手陣に関しては、プロ2年目・佐々木朗や昨季7勝の小島ら若手先発陣を積極起用しながら奮闘を続けた。

 この戦略が功を奏し、前半戦は首位オリックスと2・5ゲーム差のリーグ3位で折り返しながら、東京五輪による中断後のシーズン後半戦は投打の歯車がかみ合い急浮上。以後はオリックスと熾烈な首位争いを続け、10月14日にはついに優勝へのマジックナンバー「9」を点灯させた。

 だが、勝負どころだった10月下旬のソフトバンク戦を相次いで落とし失速。最後はシーズン4連敗で力尽き、2年連続2位で公式戦を終えると、CSファイナルでもオリックスに敗れ、2年連続で日本シリーズ進出を逃した。

 井口監督はシーズン最終戦となったCSファイナル第3戦の試合後、今季の戦いを振り返りこう語った。

「今シ―ズンは本当に接戦をしっかりと逆転したり(そういう事)ができたのはチームのスローガン通りだったと思う。ただ、いい試合をしただけじゃいけない。われわれは優勝というところを目指して1年間やってきている。本当に2年連続で(CS)ファイナルに負けて、自分たちの力でもう一回勝ち上がっていかなきゃいけないと思います」

 その上で来季への課題を聞かれると、指揮官は真っ先に「全てじゃないですか」と断言。「チーム打率が239(2割3分9厘)でしたけど、得点としては(リーグ)トップだった(584得点)。逆に失点がね。ピッチャーだけに限らず、チームも含めていろいろありましたので。そういうところまでしっかりやって。来季に向けてスタートしたいと思います」(井口監督)

 昨季はコロナによる主力選手の大量離脱。今季は主力の一人だった清田育宏外野手が度重なる不適切行動により、5月下旬に解雇された。11月にはその清田側から球団が「契約解除処分は解雇権の乱用」と提訴されるなど、グラウンド外の難事は相変わらず。それでもオフにコーチ陣を一部刷新するなど、来季に向けての体制作りは着々と進む。

 今年もあと一歩のところでリーグVを逃したロッテ。来季こそは悔しさをバネに頂点に立てるのか。井口政権5年目シーズンで真価が問われる。