3位・巨人が6日の首位・ヤクルト戦(神宮)に0―3で敗れ、ゲーム差が7・5と広がった。逆転優勝の可能性は限りなく低くなってしまったが、昨季ぶっちぎりの優勝を決めたはずの巨人は、なぜこうなってしまったのか。本紙専属評論家の伊原春樹氏は「すべては原監督の責任だ」と断じ、監督通算勝利数で〝神様超え〟を果たした全権監督の問題点を指摘した。

【伊原春樹 新・鬼の手帳】もう7・5差ですか。今年のペナントレースは戦力的に巨人が圧倒すると思っていたが、こういう展開になるとはね。阪神は食い下がるとは見ていたが、意外だったのはヤクルト。ただ、ヤクルトの戦い方を見ていると、巨人がダメなところがよく分かる。もしオスナやサンタナが今の巨人にいたら、そんなに活躍できていなかっただろう。とにかく今季の原監督は動きすぎ。体調不良で帰国したハイネマンにしろ、ちょっと打てないからと二軍に落とされれば「なんだこの球団」となって、いろいろ理由つけて帰りますよ。

 私がヘッドコーチをしていたころ(2007年~10年)の原監督は、まだガマンが利いていた。それが全権監督となって通算勝利で川上哲治さんを超え、周囲に諫言(かんげん)する人が誰もいない状況で、奇策とかいろいろ思いつくままやりたくなっちゃっているんだろう。もうちょっとどっしりと構えていられないものか。外から見ていてベンチの落ち着きのなさがとにかく気になってしまう。

 丸の扱いにしたってそう。あれだけ実績のある打者なんだから、何試合か打てなくたって黙って試合に出していれば、そのうち打ってくれますよ。それを二軍に落とすんだから…。長嶋さんや王さんとまでは言わなくても、現役時代の原監督を二軍に落とすようなもの。あれで丸自身だって余計におかしくなっちゃうし、ベンチがドタバタしているから周りの選手も不安になる。

 中田だって獲得すべきではなかった。今季はベテランの中島が気を吐いて頑張っているところに水を差したし、ちゃんと調べたら今の中田より中島のほうが上だということが分かったはず。その中田も一軍と二軍を行ったり来たりしているし、二軍監督の阿部を一軍に上げたりとか、本当に落ち着かない。これはもう「選手に危機感を植えつける」というたぐいのものではなく、度を超えている。

 外国人選手のアテが外れたとか、井納や梶谷がダメだったというのもあるかもしれない。それでも菅野は残留できたわけだし、山口も獲得した。戦力的にはヤクルトより巨人のほうが上なのは間違いなく、こうなってしまったのは、原監督自身の問題がやはり大きいのではないか。

 ただ、優勝できないとは言ってもCSがある。とにかく私が原監督に言いたいのは「もっとどっしりやりなさい」。すっかりワンマンとなってしまった原監督には誰も言ってくれないだろうから、あえて言わせてもらった。

(本紙専属評論家)