虎の勇士になれ――。背中の張りで離脱していた阪神の主砲・大山悠輔内野手(26)は25日のロッテ戦(甲子園)から一軍復帰。16年ぶりリーグ制覇へ向け、主将の戦線復帰は頼もしい限り。そんな大山に「キャプテンシー」には一家言を持つ、ラグビー界の重鎮から越境エールが届いた。

 背中の張りを訴え6日から出場選手登録を抹消されていた大山は一軍復帰を前に「体の方も問題ない。チームの勝利に貢献するため、全力でプレーしたい」と主将としての強い決意を改めて表明した。

 交流戦初戦となった25日のロッテ戦で一軍復帰し、安打をマーク。3―2で勝利した26日の同カードは3打数無安打に終わったが、4番のバットは徐々に復調してくるだろう。そんな大山に熱い視線を送るのがラグビー元日本代表の岩渕健輔氏(45)だ。現役引退後は日本代表GMなどの要職を歴任、現在は日本ラグビーフットボール協会の専務理事兼男女7人制代表総監督を務めている。

 大山の母校・白鷗大の特任准教授として教鞭を執っている縁もあり、岩渕氏はかねて虎の背番号3に注目。「もともとプロ野球は大好きで、神宮球場や東京ドームにはよく足を運んでいました。今の阪神の好調は大山選手によるところが大きいと思いますし、年齢的にも実力的にも日本代表に選ばれる可能性はあると思います。ぜひ、ともに日の丸をつけて世界で活躍することができれば」と大いに期待を寄せている。

 ラガーマンとして「キャプテンシー」の重要性を深く知る岩渕氏は自身の経験を基に、虎の主将へ金言も授けた。「私が平尾誠二さん(故人)率いる日本代表に初選出されたのは、まだ青山学院大に在籍中の20歳そこそこの頃。その当時、ジャパンで主将を務めていたマコーミックこそが私にとって最も忘れられないキャプテンです。ハードなコンタクトプレーを厭わぬプレースタイルだけでなく、当時、右も左も分からず生意気なところがあったかもしれない私にラガーマンとして、代表選手としての心構えをことあるごとに説いてくれました」

 ラグビー日本代表で初めて外国人選手として主将を務めたアンドルー・マコーミックは、骨と骨が軋むようなハードなタックルを持ち味とし“赤鬼”と畏敬の念を込めて呼ばれた。「ブレイブ・ブロッサムズ」(桜の勇士)のレジェンドを例に挙げ、岩渕氏は「国内屈指のフィジカルエリートが集うプロ野球界でキャプテンを務めることは苦労も多いと思いますが、大山選手もマコーミックのようにプレーと言葉と振る舞いで、チームをまとめられるような選手になってくれれば」とエールを送った。

 主砲に“赤鬼流”の統率力が加われば、まさに鬼に金棒。そんな名主将になれるか、大山の立ち振る舞いからも目が離せない。