聖火リレー務めた鈴木康友さん 同じ骨髄移植経験した池江璃花子への思い

2021年04月12日 11時44分

鈴木康友さん

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】「つなぐ」という言葉を強く意識した。東京五輪聖火リレー、奈良県での初日となった11日にトップバッターを務めたのは、巨人などで活躍した鈴木康友さん(61)。「何とか務めを果たしたよ」と電話越しに話す声は感慨深げだった。

 鈴木さんは2017年、白血病に移行する恐れのある骨髄異形成症候群を患い、骨髄移植を受けた。母親と胎児をつなぐ「へその緒」から臍帯血を採取し、そこから骨髄液を移植するという手術だった。

「骨髄を提供してくれたご家族から、つないでいただいた命。大事にしなあかんなと思って走ったよ」

 奈良・天理高から甲子園に出場し巨人、西武、中日でプロ野球選手として名をはせた。生まれ育った故郷で、つなぎ留めた命の光を炎に込めて次走者へと聖火をつないだ。

 闘病中は、プロ入りを熱心に誘ってくれた長嶋茂雄氏(巨人終身名誉監督)の写真を枕元に置き励みにした。「ミスターも病気(脳梗塞)を克服して頑張っている。俺も負けない。生きてグラウンドに戻ってやると、心を奮い立たせた」と前向きに闘った。

 だからこそ、同じ境遇を克服した若きアスリートの気持ちも痛いほどわかる。東京五輪出場権を獲得した競泳の池江璃花子(ルネサンス)へは、特別な思いがある。

「まさかね。復帰するだけでも大変なはずなのに、退院から1年で五輪代表だよ。本当にすごいこと。涙が出るくらいうれしいね」。その言葉には実感がこもっていた。

「人間というのはいろんな意味でつなぐということをしている。命だって、気持ちだって、文化や伝統とかも。コロナで五輪なんてやらなくてもという声もあると思うが、病を克服した池江さんの気持ちや、先日亡くなられた柔道の古賀稔彦さんらの思いをつなぐことも、スポーツに生きる人間として大切だなと改めて思う」

 五輪では楽天・田中将大や巨人・菅野智之の活躍を楽しみにしている。両者の所属チームともに、指導者としてユニホームに袖を通していたとあって「あの2人が活躍して金メダル、楽天と巨人の日本シリーズなんて、そんなうまくいくことあるかな」と話す声には希望が満ちあふれていた。


☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。

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