ソフトバンク・上林誠知外野手(25)が27日、ペイペイドームで約3時間トレーニングを行った。日本一V4達成から中1日。「休む意味もないし、欲もない。シーズンが長引いただけに(鍛錬できるオフの)休みも短い」と汗を流した。

 すでに来季に向けた上林の戦いは始まっている。昨季右手負傷の影響で大きく成績を落とした25歳は、雪辱を期して臨んだ今季も屈辱にまみれた。シーズン後半に働き場を失い、二軍降格。レギュラー奪取後最少の69試合出場にとどまった。ポストシーズンで一軍に戻ってきたが、ベンチ待機を受け入れざるを得なかった。

「練習試合だったり、オープン戦では結果は出ていたが、当然納得はしていなかった。そういう部分でシーズンに入ってブレてしまったところもある。本当は去年のこともあったので、今年はやらなきゃいけない年だったんですけど、うまくいかなかったっていうことは何か理由があるし、変わらないといけないと思っている」。現実を受け止めた上で、言葉には逆襲への強い意志があふれ出た。

 すでにシーズン中から再起をかけた取り組みは始めている。今オフは「また自分の勉強と相手の勉強をできたらいい。やっぱり自分の体の使い方は自分にしか分からないし、自分ですら表現するのが難しいので、そこを突き詰めていって揺るがないものをつくりたい」。やり返すために必要な心身の「土台」を徹底的に築き上げるつもりだ。

 下を向いていられないのには理由がある。「自分がやらないといけない。去年と今年でファンの皆さんにしても、自分のファンじゃなくなるっていうか、そういう人も増えたと思っている。でも、その中でも応援してくれている人はいっぱいいるわけで、本当にそういう人たちに申し訳ないっていう思いがある。信じてくれている人たちのためにやるしかない」。孤軍奮闘する中で、かけがえのない〝援軍〟の存在が背中を押している。

「まだ本当の意味でのプロ野球選手になれたとは思っていないので。そこは圧倒的な数字でしか黙らすことはできない。そういう気持ちがなくなったら後退するだけだし、やめればいい。こういう状況に置かれているってことは進化できるチャンスだとも思っている」

 逆襲への思いあふれる所信表明。来季は日本一V5の歓喜の中心に立つ――。