ナゴヤ球場に隣接する「聖地ラーメン店」がピンチ

2020年04月23日 16時30分

「ラーメン専科・竜」のシャッターは閉じられたままだ

 歴代の竜ナインたちの胃袋をガッチリとつかんできたナゴヤ球場に隣接する「ラーメン専科・竜」が新型コロナウイルスの影響で臨時休業を余儀なくされ、波紋を呼んでいる。

 同店を切り盛りするのは店主・吉田和雄さん(78)、妻・貴美子さん(74)、次男・剛さん(47)の3人。開業は1981年で、星野監督や落合監督ら、多くの中日関係者がこの店のラーメンに舌鼓を打ってきた。

 竜ナインに人気があるのはこってり系で、背脂をふんだんに入れた油ラーメンやスタミナラーメン、ピリ辛ミソラーメン、チャーハンなど。吉田さんは「立浪と谷繁は選手時代から注文するのは毎回、冷麺。立浪からは『全国をいろいろ回ったけどこんなにうまい冷麺はない』とお墨付きをもらえた。平田は焼きそばが大好きだったので裏メニューにしたり、そばめしも平田の案で作り方を教わって裏メニューにした」と明かす。

 さらに「星野や島野、高木(守道)さんはシンプルなしょうゆラーメンが好きだったけど、みんな亡くなってしまったよね。他球団では巨人の篠塚が遠征のたびに食べに来てくれたり、金田さん、王さん、原監督、松井秀喜にもナゴヤ球場へ出前で届けたこともある」としみじみと振り返る。

 しかし、3月3日に遠征先などでの外出禁止を中日が決めたことで、毎日のように来店のあった竜ナインらの姿をほとんど見かけなくなってしまったという。ナゴヤ球場内のフェンス越しに笠原、阿知羅、桂から「行きたいけど今は行けません」と寂しそうな声をかけられたという吉田さんは「とにかく今はコロナに感染しないように気をつけなさい」と逆に元気づけたという。

 10日に「愛知県緊急事態宣言」が出されたことなどを受け、ついに16日から5月6日まで臨時休業することを決断。吉田さんは「ウチには1日にだいたい100人ぐらいはお客さんが来てくれて、サラリーマンが5割で、残り5割は選手や首脳陣、関係者、ファンだったけど、もう4、5人ぐらいしか来てくれなくなった。38年間やってきたけどこんな危機的な状況は開業以来、初めて」と苦渋の決断だったという。

 それでも「またシーズンが始まって野球をやれるようになった選手たちに腹いっぱいラーメンを食べてもらいたい」。吉田さんは一日も早い新型コロナの終息を願っている。